お題:宗教上の理由で魔物 制限時間:30分 読者:11 人 文字数:784字

神たるがゆえ魔であるか
信仰ほど残酷な統治はこの世に二つとない。世界を正しく機能させるための法と信じられているそれはしかし、何千何万と月日を繰り返しても飽くことなくひとりの男を呪い続けている。
「人は愚かなり」
供物目当てに霊峰へ通う、変わり者の黒鷲が窓から飛び込んできてはあざわらうように鳴いた。
「愚かなのはきみだよ。人を蔑み、利用することを正しいと思っている」
黒鷲は愉快でたまらない様子で羽をゆすった。「いかにも、いかにも!」
「人が私に捧げてくれた豊穣の祈りを手放すと思うのかい」
「投げ銭に飛びつき神威を売るか。卑しき哉、のろわれし者よ」
「あきれた物言いだね、それが人にものを頼む態度かな?」
仲間の誰もが近寄らない雲をはるかに見下ろす霊山へと羽をのばす黒鷲はいつもその翼より黒く鋭い冗句を並べ立てる。誰に刃を向けても構わない乱暴な姿勢は彼を群れから孤立させたが、彼はその孤独をことのほか愛していた。それがなぜ呪われた男のもとになど通いつめるのやら。
「仕方ない、一口だけ授けてしんぜよう」
決して私の甘さゆえではない、と思いながら葡萄の皮をあますことなく取り払う。すかさず黒鷲は葡萄の実をついばんだ。
「呪われし神の孤独、なんとも甘美な肴か」
「甘美なのは葡萄だろう。私の話など露ほど聞いてはくれぬ癖に知ったことを」
呪われている、とは黒鷲に指摘されてはじめて気づいたことだが、彼はそれ以上話を聞く前にいつも飛び去ってしまう。それだけ餌となる葡萄の供物が少ないことも一因だが、最たる原因は黒鷲の甲斐性なしにあると私は確信している。
しかし、今日のところは話を聞いてやろうなどと口にすると黒鷲は神殿でくつろぎはじめた。私は面食らってしまった。
「どうしたのだ、ここが安全と踏んで卵でも産み落とす気か?」
「まさか!やや子を産むならば卑しき神の目が届かぬ場所よ」
「友人面でもして
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