お題:残念な口 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:706字
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ある村の集会で。
 真実の口、と呼ばれるものがある。
 どこかの国にある、うそつきが手を突っ込むと抜けなくなるというアレだ。
 なぜそんなことを考えているかといえば、だ。

「かの国の真実の口みたいなものを作って、村興しはできんものかね」

 村の発展を考えるために集まった集会で、村長のそんな一言を聞いたからだ。

「すでに他の村、いや街でやっている地域もあるのでは? にも関わらずあまり噂にもなっていないということは、あまり効果が……」

 村長の次に偉い副村長がすぐに反対意見。
 村長も副村長も60代半ばという同世代ながら、やはり人間。意見は割れるというものだ。まぁ副村長の場合、村の財政に責任があるから変な村興しを強行されたら困るのだろうが。
 ともかく、いいぞ。
 まだ30代にも差し掛からないピチピチの20代の俺ではおいそれと年配層の意見に反対などできんからな。どんな村興しになるにせよ、大体動かされるのは俺たち若年層だ。面倒そうな意見はすべてナシになってもらいたい。

「むぅ……副村長にそういわれてはな。いや。しかし真実の口、という名称でなく他の名称で効果というか効能というか。そういうものが違うなんちゃらの口というのはどうだ?」

「そうだの。確かに別の役割で名前にしてあれば、あるいは……」

「じゃろ? そこの若いの、何か良い案はないか」

 そう。
 年配層の意見になど、反対できないのだ。
 つまり突然白羽の矢が立てられた俺は、何か言わなくてはならない。
 そして俺は。

「……残念な口、というのはいかがでしょうか」

 ほぼ思いつきで、そんなことを口走っていた。

 まさかこれが通るとは思わずに。
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