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お題:たった一つの解散 制限時間:15分 読者:70 人 文字数:507字

魂の椅子はひとつだけ ※未完

 最期まで誰にも気づかれることはなかった。
 ごくごく平凡な会社員として五十歳まで穏やかに生きた男は、急性の病に倒れてからあっという間に生涯を終えた。彼の葬式もごくごく平凡に支障なく執り行われた。妻と娘たちと息子たちが涙を流し、彼を慕う友人や部下たちが集い、死後の安寧を神に祈った。彼の人格が実はひとつではないことを知る者は、とうとうこの世に一人も現れることがなかった。

「ひとは一人で生まれて、一人で死んでいくはずなのに」

 死後に続く廊下を、五人の人影がぱらぱらと歩く。

「一人で死に損ねたねぇ。どうしようかこれ。どうなるのかなぁこれから」

 郷愁の反映か、死後に歩く廊下は、かつて男が通った小学校の渡り廊下にそっくりだった。ニスのうっすらと剥がれた木造の道、さすがに五十をすぎた身体で上履きを履くことはなかったが、革靴で小学校を歩くというのもなかなか妙な心地がした。この頃はまだ自分はひとりで、他の誰もいなかったな、と彼は考えた。その思考はすべて、彼、いや、彼らにもすぐ伝わった。

「かれこれ30年以上はずっと一緒にいたんだな」

 彼が一度仕事で精神を病んだときに生まれた年下の人格はそう言って
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