お題:走る何でも屋 制限時間:15分 読者:47 人 文字数:847字

職業、運び屋。
 自転車で走る都内は、コンクリートで出来たジャングルだ。
 人や自動車の間をぶつからない様に、細心の注意を払って縫うように進んでいく。樹齢千年を超える大樹のようなビルとビルの間をショートカットして、野良猫に驚き、ゴキブリを踏みつけ、細いタイヤで空気を切り裂くように走る。
 背負った荷物は届け物。俺は自営のバイク便を営んでいた。

 きっかけは大企業に入った友人と酒を飲み交わした時の愚痴だった。
「書類を相手方に出すたびに出張届を出さなきゃいけないのだけれどこれが手間でさ。会社って基本的に正規の者だろうとちょっとしたものだろうと、手続きを全て統一するんだよね。そういうシステムが余計に時間や労力を食っているところがあるんだけど、上の人たちはそういう『面倒なことを面倒な状態』で生きてきた人たちなんだよ。未だにファックスとか使ってるの見て愕然としたよね」
 何か良い案はないかということで、俺が企業と企業を繋ぐパイプを買って出ることにしたのだ。
 その会社で、半径五キロメートル以内の企業に宛てて送られる書類に関しては俺が一任されてその日のうちに配る。会社には属しておらず、日雇いの仕事みたいなものなので、企業側は俺に対して社会保障などを気にする必要はない。しかし、自分で会社を立ち上げて法人化したので、個人で様々な義務が発生する。この辺りは友人と相談した時に決めたことだ。
 俺は自転車で走るのが好きだった。
 一時、ロードバイクの選手になろうと思ったこともあったが、レースの世界で精神を擦り減らすことに慣れることは無かった。単純に自転車に乗るのが好き、それ以上でもそれ以下でもない。
 大学を卒業してもその思いはあったが、たまたま入社した会社がブラックな会社で、個人の自由時間というものが作れなくなった。
 自転車に触れなくなって、俺は気を病んだ。
 それで会社を辞めて、毎日をただひたすら、何も考えずにペダルを回し続けた。
 それが今、こうやって金になっている。ありがたいことだと思う。
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