お題:走る何でも屋 制限時間:15分 読者:81 人 文字数:847字

職業、運び屋。
 自転車で走る都内は、コンクリートで出来たジャングルだ。
 人や自動車の間をぶつからない様に、細心の注意を払って縫うように進んでいく。樹齢千年を超える大樹のようなビルとビルの間をショートカットして、野良猫に驚き、ゴキブリを踏みつけ、細いタイヤで空気を切り裂くように走る。
 背負った荷物は届け物。俺は自営のバイク便を営んでいた。

 きっかけは大企業に入った友人と酒を飲み交わした時の愚痴だった。
「書類を相手方に出すたびに出張届を出さなきゃいけないのだけれどこれが手間でさ。会社って基本的に正規の者だろうとちょっとしたものだろうと、手続きを全て統一するんだよね。そういうシステムが余計に時間や労力を食っているところがあるんだけど、上の人たちはそういう『面倒なことを面倒な状態』で生きてきた人たちなんだよ。未だにファックスとか使ってるの見て愕然としたよね」
 何か良い案はないかということで、俺が企業と企業を繋ぐパイプを買って出ることにしたのだ。
 その会社で、半径五キロメートル以内の企業に宛てて送られる書類に関しては俺が一任されてその日のうちに配る。会社には属しておらず、日雇いの仕事みたいなものなので、企業側は俺に対して社会保障などを気にする必要はない。しかし、自分で会社を立ち上げて法人化したので、個人で様々な義務が発生する。この辺りは友人と相談した時に決めたことだ。
 俺は自転車で走るのが好きだった。
 一時、ロードバイクの選手になろうと思ったこともあったが、レースの世界で精神を擦り減らすことに慣れることは無かった。単純に自転車に乗るのが好き、それ以上でもそれ以下でもない。
 大学を卒業してもその思いはあったが、たまたま入社した会社がブラックな会社で、個人の自由時間というものが作れなくなった。
 自転車に触れなくなって、俺は気を病んだ。
 それで会社を辞めて、毎日をただひたすら、何も考えずにペダルを回し続けた。
 それが今、こうやって金になっている。ありがたいことだと思う。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:走る何でも屋 制限時間:15分 読者:60 人 文字数:886字
高校の頃、英語の授業に20代前半の結構イケメンなアメリカ人教師(前職:何でも屋)が来た。授業は一人一人アメリカ人先生に名前を呼ばれ、前に出てマンツーマンで話をす 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:走る何でも屋 制限時間:15分 読者:71 人 文字数:1063字
「わたしは何でも屋です。どんな道でも走るって意味ですけど」 そう言って現れたのは、セミロングの髪をした小柄な女性だった。「これを見てください。わたしはこの国のど 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なつめ お題:走る何でも屋 制限時間:15分 読者:147 人 文字数:425字
最近は、何でも商売にしてしまうのね。まだ、来ない友人をぼんやりと待ちながら、目の前の男を訝しげに眺める。待ち合わせ場所を変えれば良かった。男は、ナンパとも勧誘と 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
病室の花 ※未完
作者:匿名さん お題:走る何でも屋 制限時間:15分 読者:214 人 文字数:220字
私は走った。走って走って走りつづけた。妹のために私は走りつづけた。私の妹は大学3年生。文学部で、ロシア文学を学んでいる。そんな彼女はある日うけた健康診断で、レン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:黄色いジジィ 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:572字
ドンッ。「ってえ」 正面からものすごいスピードで走ってきた人間を避けきれず、ぶつかってしまった。俺じゃなかったら骨折れてるぞ。あぶねーな……。 すると女性の悲 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:明日香 お題:とびだせ水 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:691字
子供の頃学校のプールで溺れて以来、水が恐怖だった。風呂くらいの広さならまだ平気だが、旅館の大浴場ほどの広さになると足がすくんで指の先が震えてくる。水恐怖症。や 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ハッサクリーフ(マイン倶楽部) お題:淡い犬 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:435字
俺の名前はワンス、飼い主のペットのオスの淡い犬だ。ガチャッ「ワンス、エサ持って来たよ」この男の子は飼い主の子供の男の子、スワン。「クン~クン~(エサだエサだ!) 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:複雑な惑星 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:782字
ここら一帯がお前の担当だよ、とおざなりに上司に渡された宇宙地図には、立体的にいくつもの点が分布していて、これをすべて訪問して営業回りに行くのかと思うと気が滅入 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
013 ※未完
作者:日ノ宮理李@バブみ昆布 お題:綺麗な小説修行 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:586字
圧倒的ボリュームのあるものは人を寄せ付けない。 それは料理に限らずすべてのものが該当する。 そんなものを描写しようとすると、まず自分が体験しなければならない。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
意外な彼方 ※未完
作者:匿名さん お題:意外な彼方 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:581字
時間も時空もいまいち不明だ。嫌な茶色の空を青白い太陽が遠い山の端に取り付くようにして這っている。淡い緑を帯びた灰色の石ころが転がる茫洋とした荒れ地にKは盆槍と 〈続きを読む〉

雷藤和太郎@バーチャルピエロの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:走る小説上達法 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:929字
早朝、まだ陽の昇らないくらいの時間に起きると、僕はご飯を食べる前に色んなことを済ませる。 体を起こすために軽くその場でジャンプし、それから寝ている間に縮んだ筋 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:もしかして英霊 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:961字
例えばここに一枚のお札があるとする。 そのお札の名前は何でもいい。ウェブマネーだろうとアイチューンカードだろうと、それは僕の与り知らぬところではない。 そのお 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:昨日のつるつる 必須要素:日本人使用不可 制限時間:1時間 読者:56 人 文字数:2954字 評価:1人
「これを使えば昨日のつるつる頭も今日になれば若かりし頃のふさふさに!あまりに効きすぎるので、日本人使用不可寸前に追い込まれたトンデモ効果の発毛剤! 生える、増え 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:優秀な天井 制限時間:15分 読者:44 人 文字数:1142字
朝、目が覚めた時に天井に書いてあることをすると、必ず良いことが起こる。 これは僕だけが持っている特別な力で、お母さんに話しても何も理解は得られなかったが、老人 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:真実のラーメン 必須要素:うへへ 制限時間:1時間 読者:61 人 文字数:3630字 評価:0人
油で妙に湿ったテーブルに肘をつけるのはためらわれた。 凝った居酒屋のような、丸太の椅子。異世界の酒場のようなテーブルには、ラミネートされたメニュー用紙が一枚置 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:疲れた宗教 制限時間:15分 読者:46 人 文字数:1165字
「音楽を聞く?」「そう、音楽を聞く」 ハンバーガーショップの不安定な丸椅子に座って、キミコはにっこりと笑った。「ただ音楽を聞くだけの宗教なんて、聞いたこと無いよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:くさい町 制限時間:15分 読者:44 人 文字数:1047字
「この時期になると、通学路が臭くなるから嫌なのよね」 昨晩降った雨が、アスファルトにイチョウの葉を貼りつかせている。イチョウの葉だけならまだしも、紅葉の時期にな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:僕の好きな電車 制限時間:15分 読者:56 人 文字数:984字
総武線快速は嫌いだった。 あの電車は市川も船橋も止まるのに、肝心の本八幡に止まらないのだ。 おかげでどんなに総武線が速かろうが僕は快速を用いるのは嫌だったし、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:あいつと魔王 制限時間:15分 読者:63 人 文字数:1042字
俺の彼女はカラスになって飛んでいった。 デパ地下のパン屋でアルバイトをしていた気立てのいい女の子だった。「パン屋だから、普段はつけられないんだ。ゴメンね」 そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:男同士の挫折 制限時間:15分 読者:58 人 文字数:962字
「告白は成功したのか?」 何か不安なことや悩みがあると、わざと遠回りをするように防波堤の上をトボトボと帰る癖が宗次郎にあることを、真は知っていた。 だから、その 〈続きを読む〉