お題:宿命の川 制限時間:15分 読者:50 人 文字数:578字

川沿いの最期
霧雨のなか、私はひとり、川沿いを歩く。ほんの少しの口笛と一緒に。うちの生徒の姿は最早ないし、出歩く人だってこの時間は少ない。だって平日の真っ昼間。こんな時間に歩く制服姿のほうがイカれてる。
「今日、午後から結果だけ取りに行きますから」
私は昨夜、そう担任のおじさんに連絡を入れておいた。返答を待つまでもなく、言うことだけ言って電話は切った。
勝手なハモりを旋律に付け加える。青春の一コマ、幼馴染との関係の変化を歌ったポップ。イヤホンのなかだけでハモる私の歌。たぶん側から聞いたらズレにズレたデタラメなメロディ。
テストの結果くらい見たいじゃない、なんて思って1週間ぶりに制服に袖を通した。久しぶりに下げた鞄が私の右肩に食い込む。左肩は既に痛くて鞄の重量に耐えさせようとも思わない。
「春はなー、紫外線やばいんよー」
呑気な声が蘇る。ハル、なんて名前の春が嫌いな不思議ちゃん。家出常習犯。変に気があうのはきっと逸れものだからなんだろう。
ああ、そういえばこんな会話したんだっけな。自転車どこやったっけ。たしか、2人してのんびり遅刻した5月の晴れた朝。無頓着な私と、神経質なまでに気を使うハル。
ま、だからなのかもしれないな。
学校抜けるのは私が先さ。じゃあね、学校。私は呟いて、校門をくぐる。
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