お題:天国の闇 制限時間:15分 読者:78 人 文字数:450字

てんごく
 雨の降る帰り道だった。わかりやすいぐらいにセンチメンタルな空だった。
 喪服姿の女性が傘を差し、娘と思しき少女を連れて歩いているのとすれ違った。年端も行かない少女は、ただ疲れたという様子で母の手を握ってはブランコのように振り遊んでいる。
「ねえ、おばあちゃんどこいったの?」すれ違いざまに少女の言葉が耳に入った。一体この母親はどう答えるのか。私は会話が聞こえるよう、歩調を緩めた。
「おばあちゃんはね、天国に行ったの」母らしき人物はそう答えた。
 果たして、少女はこの答えで納得しただろうか。少女が「んー」と唸っているのを後ろ手にしながら、私は元の速さで歩き始めた。好奇心ゆえ、本当は二人の会話をもう少し聞いていたい気持ちになったが、流石に後をつけるわけにもいかない。
 死ねば天国に行くというのは、大人からすれば子供だましとも聞こえてしまうような話だが、果たしてあの少女は天国の存在を信じることが出来たのだろうか。
「でもミウは、おばあちゃんとちがうてんごくにいきたいな!」私は思わず振り返った。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:溟野 周 お題:官能的な武器 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:401字
「君はとても強力な武器を持っているが、すべてを受け入れる覚悟がない」官能的な魅力をもって彼を征服しようなんて、これっぽっちも思ってはいなかったが、彼女はただ頷い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎 お題:小説の痛み 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:1125字
「その小説は『自己満足』のために書いているの?それとも『承認欲求』のために書いているの?」 清美が真面目な顔で僕に質問してきた。 総合ショッピングモールの一角、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:溟野 周 お題:許せない血 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:265字
わたしが足を踏み入れることができない明るい太陽のもとで、裸足で走り回ることができる娘。わたしと目を合わせたときに、何か理解できぬものを見たような、怯えたような、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:愛、それは愛 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:842字
丸めて捨てた紙が、音を立てて風に滑った。薄っぺらな紙に緑の薄い線で「離婚届」と印されている。ため息をついた。結婚していないのに離婚届とはこれいかに、と思いソファ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:溟野 周 お題:愛、それは愛 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:369字
たいそう大事にされ、可愛がられてきた子どもだったから、自然に人を鍾愛することができるのだろう。愛を育むには一定の時間を要するが、その子は誰にでもなつき、無条件に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:小伏史央 お題:燃える検察官 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:146字
燃えていた。朽ちていた。欠け落ちています昔から。裁判官が、静粛に・静粛に。声を震わせ「静粛に!」。燃える検察官のとなりで、弁護士がわなわなと口を溶かしています。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@バブみ道団長 お題:燃える検察官 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:994字
ねぇ、私は誰かの役に立ったのだろうか。 守れる人は守れず、人に間違ってると言われ続け、誤解は解けないまま。 いっそのこと死んでしまったほうがいいのだろうか。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨雪 お題:楽観的な愛 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:528字
『きみの中にある残り幾何かのささやかな良心に問いかけよう』頭の奥深く。焼けるような体表面上の痛みを無視して、強烈に響く声。神経の遮断は上手くいかずに、ただただ苦 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:いよや お題:恐ろしい鳥 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:828字
「わ!インコ飼ってるの?可愛いー!」「俺が一人暮らし始めて、すぐに寂しくなって買ったんだよね」「いいなー。可愛い。喋るの?」「うーん、全然なんだよそれが。恐ろし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ぬんばー お題:僕が愛した湖 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:760字
仕事の関係で滋賀に行く機会があった。滋賀県草津市。琵琶湖博物館がある市にて仕事を終えた僕は、上司の言葉を思い出した。「よかったら、琵琶湖でも見に行ったらどうだ 〈続きを読む〉

臆病監督の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:天国の闇 制限時間:15分 読者:78 人 文字数:450字
雨の降る帰り道だった。わかりやすいぐらいにセンチメンタルな空だった。 喪服姿の女性が傘を差し、娘と思しき少女を連れて歩いているのとすれ違った。年端も行かない少 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:神の裏切り 制限時間:15分 読者:71 人 文字数:761字
これは僕が高校二年生の時の話なんだけど……まあちょっと聞いて欲しい。 僕のいた学校は普通校で、頭が良いわけでもなければ、特に荒れているわけでもなかった。だから 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:殺された狂気 制限時間:15分 読者:80 人 文字数:897字
私の兄はバンドを組んでいました。 少しだけ私の話をします。少しだけというのは、少ししか話す内容がないからです。 私は平凡な人間です。高校生三年生で、両親と、七 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:男同士の音 制限時間:15分 読者:115 人 文字数:629字
私は男性成人向けの映像作品(通称:エロ動画)を見ることを趣味としている者である。 酒の席などで「男しかいないから」とついその事について溢してしまうと、男なら皆 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:2つの秀才 必須要素:正月 制限時間:15分 読者:106 人 文字数:486字
秀才というのは天才とは違う。どこが違うかについていえば、秀才は後天的なもの、天才は先天的なものである。もちろん、秀才になるためにもある程度の素質は問われるかも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:オチはロボット 制限時間:15分 読者:152 人 文字数:845字
「聞いてくれよ」 足で回転椅子を蹴り、デスクから180度回転する。昼休みではないが、これぐらいの雑談は許されてしかるべきだろう。いい加減、二・五次元のコードを書 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:美しい第三極 必須要素:外国語・外来語禁止 制限時間:15分 読者:171 人 文字数:867字
日本が一八五八年に鎖国を解いてから何年経つだろうか。 歴史は繰り返すというが、私のいる『日本』は再び鎖国を敷いている。 しかし、歴史が繰り返すには少し早過ぎる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:鈍い喪失 制限時間:15分 読者:183 人 文字数:560字
私はヘッドホンを外した。 多くの人間が『いま』を失う。 大切なものを壊してしまって、二度と元通りにならない――とか。 恋人と別れてしまって、二度と会えない―― 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:宿命の喜び 制限時間:15分 読者:214 人 文字数:1738字
「こう、電動歯ブラシがあったと」 僕は壇上でとうとうと語る。「それを、こう、掴んで、こう?」 僕は学生たちに問いかける。 しかしそれは残念ながら学生たちの心には 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:臆病監督 お題:安い孤独 制限時間:15分 読者:252 人 文字数:803字
22世紀を境目にして起きた圧倒的な人口爆発。前世紀ですら地球に人間が溢れているといわれていたのに、現在起きているのは限界を超えた超過密状態。地上には隙間なく住 〈続きを読む〉