お題:天国の闇 制限時間:15分 読者:64 人 文字数:450字

てんごく
 雨の降る帰り道だった。わかりやすいぐらいにセンチメンタルな空だった。
 喪服姿の女性が傘を差し、娘と思しき少女を連れて歩いているのとすれ違った。年端も行かない少女は、ただ疲れたという様子で母の手を握ってはブランコのように振り遊んでいる。
「ねえ、おばあちゃんどこいったの?」すれ違いざまに少女の言葉が耳に入った。一体この母親はどう答えるのか。私は会話が聞こえるよう、歩調を緩めた。
「おばあちゃんはね、天国に行ったの」母らしき人物はそう答えた。
 果たして、少女はこの答えで納得しただろうか。少女が「んー」と唸っているのを後ろ手にしながら、私は元の速さで歩き始めた。好奇心ゆえ、本当は二人の会話をもう少し聞いていたい気持ちになったが、流石に後をつけるわけにもいかない。
 死ねば天国に行くというのは、大人からすれば子供だましとも聞こえてしまうような話だが、果たしてあの少女は天国の存在を信じることが出来たのだろうか。
「でもミウは、おばあちゃんとちがうてんごくにいきたいな!」私は思わず振り返った。
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