お題:神の裏切り 制限時間:15分 読者:58 人 文字数:761字

さすがに聖書ではないと思うんだけど
 これは僕が高校二年生の時の話なんだけど……まあちょっと聞いて欲しい。
 僕のいた学校は普通校で、頭が良いわけでもなければ、特に荒れているわけでもなかった。だから同期にも飛び抜けた奴がそういなくって……一言で言ってしまえばつまらない奴が多かった。残念ながら僕だってその例外じゃなくって……何事においても『中の中』みたいな人間だった。まあ、僕の話は置いといて……そういう学校に限って、自分を変わったように見せようっていう人間が出てきてしまう。根が普通なのに、無理に出る杭を演じるのは見ていてとても痛々しかった。ファッションと称して無駄に制服を着崩すかっこ付けや……いやそういうのはまだマシとも言える。一番痛々しかったのは中二病の奴かな……。二年と三年の時クラスが一緒だったんだけど……確か長澤だったか……中嶋だったか…………え? 全然違うって? いや、仲良くしていたわけでもなかったからさ、名前もうろ覚えなんだよね。ただ、その奇行が一つだけ記憶に残っていて……。普段から哲学者が書いた本の訳書を休み時間に開いているようなやつだったんだけど……あれはバレンタインデーの日だったなあ。これまた一段と分厚い本を広げていたんだよね。誰が書いた本かは覚えてないなあ。とにかく、本人はそれが知的に見えると思ってて、バレンタインにできる精一杯のカッコつけだったんだろうね。休み時間のたびにその本を開いているのを周囲の男子は陰で笑っていたけどね……。で、本人としてはそのアピールを以ってバレンタインにチョコをもらうつもりだったんだろうけど……結局下校まで、チョコはおろか彼に話しかける人間すらいなかった。そしたら、放課後に……急に「神は死んだ!」と言って立ち上がり、カバンを荒々しく取って帰って行ったんだよね……。あれは面白かったなあ……。
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