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ブランコ ※未完
 二丁目の公園で、ブランコが揺れていた。誘われているみたいで、僕はその幼い黄色と赤のブランコに座って軽く地面を蹴った。鎖がギイギイと辛そうに軋んで揺れる。公園には他に誰もいなかった。遠くの日なたで、野良猫が気持ちよさそうに寝ているだけだ。立ち上がる気が起きなくて、しばらくそのまま揺れていた。
 どれくらい経ったろう。入り口の方から、種田さんが歩いてくるのが見えた。偶然通りかかったような、自然な仕草で。僕は何となくそっちを見られなくて、下を向いてしまった。そうして初めて、足元に小さく水たまりができていることに気づいた。たくさんの子どもに蹴られて削れた地面は、水気を含んで泥々にぬかるんでいた。お気に入りの靴が、その綺麗な白が、見る陰もなく黒ずんでいて悲しかった。
「隣、いいかな?」
 いつの間にか種田さんがブランコまでやってきていた。僕が返事をする前に、種田さんは隣のブランコに腰掛けた。上等そうなズボンが砂に汚れるのも、綺麗に磨かれた革靴が泥に塗れるのも構わずに。
 彼は、父さんの話にはもう触れず、ただただブランコを漕いだ。子どもみたいに、ものすごい高さまで。ブランコの鎖が小気味よく鳴っていた。
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