お題:綺麗なお金 制限時間:15分 読者:56 人 文字数:546字

がんじがらめだ ※未完

 生まれた時からおれは暴力と酒と性の香りが充満した場所にいた。この街には教会や修道院なんていう施設がないので、おれの親が生まれたばかりの親をあろうことか街で一番の盛り場の前に捨てていったのだ。さぞかし頭の軽い女だったのだろうと思う。なぜ分かるのかと問われればそんなことしなきゃならないような女は大抵この店で働いているからだ。顔も覚えられないような男に抱かれて酒を飲み、子を産んで捨ててこの街を出ていく。そんな女は少なくない。
 奇跡的にこのキャバレーの支配人の女の香水臭い胸に抱かれ育てられたおれは、今やこの店の用心棒。顔も知らない母親が、もしくは神様が俺に唯一与えたもうたのは決して良いとは言えない目つきと高い身長だ。ステージの上で乳だの足だの放り出して踊る女たちに過ぎた「おいた」を働こうとする男を店の裏に連れて行って追い出すのが仕事で、与えられる報酬は月に20万ほど。この街で暮らしていくには充分すぎる額だが、外で暮らしていくには全然足りない程度のものだ。要するに、ここで飼い殺されて死んでいくのが決まっているのだ。
 酒と、香水と、性。そんなものに塗れた札束を懐にねじ込んで、女どもが暮らす部屋を抜けて自室に向かって、未練がましくむつかしい分厚い本の間に金を未練がましく挟んでいる。
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