お題:ダイナミックな家事 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:838字

無いものねだり
 旦那に食事中、あれとって来いこれとって来いと言われて仕方なく従ってきた。
 あまりにも面倒くさがって私に指図してくるので、だんだん疲れてきた。かといって彼に不自由させるのもよくない。
 結局は放っておけない性分なので、ある程度のところで聞き流して無視してもよさそうなところでも自分が無理して合わせてしまう。それに違和感を感じてきたというわけだ。
 そこで調味料をほぼ一かため、台所にあるのと同じもののミニチュアを揃えて旦那の定位置のわきに並べて置いた。
 ひとまずは収まったかに見えたが、今度は困惑したようにこう言われた。
「こんなにあってもどれがどれかわからない……」
 たくさんあるせいか、どこにあるのかわからないなどと文句を垂れてきた。ラベルを剥がしているわけでもなし、字や色を見て判断するのも面倒などと言われても、さすがにそれは無視した。
 次に洗い立ての小皿と箸をまとめて調味料のわきに積んでおいた。常に用意しておけばいいのだと思ったが、それも目に入らないらしく忘れた彼がまた「小皿をくれ」と言ってくる。
 そこにあるでしょ、と伝えてやり過ごした。
 ここはファミリーレストランのような見た目になった。


 常にテーブルにおいてあるカセットコンロを使用して、旦那は焼き肉を楽しむ。
 当然のように周囲に油が飛ぶが、それは無視して食事している。もちろん私がテーブルを拭く。油汚れは水拭きでは落ちてくれないので、そこは酢と重層を混ぜた自家製の洗剤を霧吹きしてからだ。
 やがて洗剤もテーブルに常備されるようになった。
 焼肉屋のテーブルと変わらない状態になってきたところで、こう旦那に言われた。
「テーブルに物が多すぎる!」
「あなたがあれこれ頼んでくるし、汚すからでしょ」
 反論したが、まだ何かブツブツ言っていた。
「こう物が多くちゃ俺のスペースが狭い。お前はおおざっぱだ」
「お互い様じゃないの?」
 私はそう言ってやり過ごし、旦那と暮らしていく。これからも。
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