お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:2000字 評価:1人

君のグラタンをたべたい
お盆なので、死んだ人が帰ってきた。

僕はその日東京ビックサイトの東棟にあるお盆特別企画死んだ人復活ゾーンに来ていた。東京ビックサイトは人がたくさんいて、コミケみたいな感じだった。ちなみにコミケは明日からだ。2020年はどうなるか知らない。

で、僕は友人の付き添いでその場にいた。その友人はもうなんていうか、
「本当にあの子が帰ってくるとしたらもうやばい。車の運転とかできなくなるし、涙腺が崩壊する」
と、言って僕に運転をしてほしいといった。僕はペーパードライバーでペーパーゴールドで、ゴールド免許を持っている人はペーパーだからゴールドなんだという考えを持っていたので、ゴールドだから運転したくないといったんだけど、でも、
「帰りにサイゼおごるから」
と言われてすごいつかみかかられたので、しぶしぶ了承したのだった。

ちなみにその友人は、二年前に娘を海で亡くしていた。僕もその場にいたが、そいつはビーサンをカンタのおばあちゃんみたいに握っていた。

「せつこおおおお」
というわけでその友人がお盆特別企画死んだ人復活ゾーンで娘と無事に再会したのを見たら、なんというか、ちょっと来るものがあって僕は先にその場から離れてた。

そんで西棟の様子を眺めながら、明日から開かれるコミケでここがいっぱいの人になるところを想像していた。
そんな時ふと背中をたたかれた。振り向いたら、
「どうも」
その人は去年死んださくらさんだった。


さくらさんというのは、去年死んだ僕の知り合いだ。
ビックサイトからの帰りの車の中で、意外と大丈夫で、
「せつこ何食べたい?」
と、助手席に乗せた娘と意気揚々と会話をしている友人の車の後部座席で、僕たちはお互いの近況を話し合った。

「最近何しているの?」
とか、
「あっちはどうなの?」
とか、そういう話だ。よくある話。天気の話みたいな感じの奴。

死んだ人はお盆の間だけこっちの世界に帰ってくる。もちろん帰ってくる人もいれば、帰らない人もいる。忙しかったり、お金をためていなかったりすると、帰らないという事もあるそうだ。

「そういうのはどこも変わらないんだなあ」
「そうそう、そうなの。あとあっちからこっちにきて、それから地方の人はまた移動っていうのもあるでしょう?」
めんどくさいのよ。さくらさんはそういって笑った。

確かに、僕だって地元に帰る為には飛行機なら一時間、新幹線なら四時間、夜行バスなら八時間かかる。それは大変といえば大変だ。それに加えて死後の世界の人は死後の世界からこっちに来て、そっからまた移動って感じだもんなあ。

運転席で友人と娘が楽し気に会話していた。それと同じくらい僕達も後部座席でそんな風に楽しんだ。

久々のさくらさんとの会話はとても楽しかった。

その後、友人は約束通り、家の近くのサイゼに車を停めた。

「今日はありがとう。お前が付き添ってくれたおかげだ」
といった。普段そんなことを言うやつじゃなかったので、僕は、
「気持ち悪い」
といった。
するとさくらさんが後ろから、
「お前は馬鹿か!」
といって僕の背中をたたいた。

でもその後、僕は気を使ってサイゼでは別々に座ろう。と友人に提案した。積もる話もあるだろうからと。これは我ながらナイス提案だったと思う。
それを言った後、うしろにいるさくらさんを肩越しに見ると、
手をグーってやっていて、僕も少しガッツポーズして見せた。

「パスタうまいねえ」
サイゼではさくらさんがカルボナーラを、僕はグラタンを食べていた。あと二人で食べる用のピザも頼んだ。それからお酒も飲んだ。ビールとかあとグラスワインとか、グラスワインではすまなくなってデキャンタでも頼んでしまった。しかも白も赤も。

とても楽しい食事だった。

すると、
「君のグラタンも食べていい?」
と、さくらさんが言った。

「ん?もう一個頼む?」
僕が聞くと、

「いや、とりあえず、それを」
とさくらさんが、僕のグラタンを奪い取って、自分の方に寄せた。

しかし、その後しばらくしてもさくらさんはずっとその奪い取ったグラタンを眺めるだけで、食べなかった。

「やっぱりもう一個頼む?」

「なんか違うんだよねえ」
さくらさんは言った。何が違うんだろう?

「あ!」
それからさくらさんは奪い取った僕のグラタンを僕の方に戻して、

「一口食べてみて」
と言った。

「僕が?」
さくらさんがうなずく。

だから僕は普通にスプーンで一口食べようとすると、

そこでさくらさんが、
「ああなるほど、私は君のグラタンをたべたいんだなぁ」
といった。

それを言われて僕は、今すぐにでも死のうかと思った。死ぬって思った。


で、

これからお盆が終わるまで色々とあるんだけど、でも必須要素が2000字以内なのでこれで終わりで。
作者にコメント

対戦作品一覧


ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:2000字 評価:1人
お盆なので、死んだ人が帰ってきた。僕はその日東京ビックサイトの東棟にあるお盆特別企画死んだ人復活ゾーンに来ていた。東京ビックサイトは人がたくさんいて、コミケみた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:松竹輪子 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:37 人 文字数:1497字 評価:1人
次の文章を読んで頂きたい。「ぐふぐふふ ぐぐ ふふぐ ふふぐふぐ ふふぐぐ ぐぐふぐぐ ぐふぐぐふ ぐぐふふぐ ふふぐふふ ぐふふふ ぐふふ ふふぐ ふぐふふ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:21 人 文字数:2000字 評価:0人
丘の下を兵隊さんが行進していった。男なのにスカートを履いて、へんてこな帽子をかぶり、長銃を肩に担いでいる。音楽隊のかき鳴らす楽器の音に合わせて、一糸乱れぬ動き 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナモモとほっけ団 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:26 人 文字数:1728字 評価:0人
平和のための犠牲に彼はMになった。 通称殴られ代行。 元々身体が丈夫というか、先祖返りの影響でそうなってるだけに過ぎない。「大丈夫?」「大丈夫。痛いけど、殴っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:inout お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:21 人 文字数:2000字 評価:0人
ぐふ、ぐふふふ……鳴き声とも笑い声ともつかない声が机の中から聞こえた。学校での休み時間、蒸し暑さ成分が教室どころか市内全体を包み、ぼーっと窓の外を見ていたときの 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:賢くない賢者@もうだめ お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:29 人 文字数:612字 評価:0人
1年で3000人の財布を盗み、年収1億円を誇っていたスリの王、徳野原権蔵は司法取引により警察の捜査に協力し、その見返りとして、警察に直接協力する以外の全ての時間 〈続きを読む〉

和委志千雅の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:昨日の超能力 必須要素:ギャング 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:1068字
右側と左側から、ピストルがバンバン撃たれており、僕はちょうどその真ん中にいた。ピストルの弾が当たらない様に寝そべっていた。そういうときの対処法もわからないので、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:かっこいい殺し屋 必須要素:ラストで死ぬ 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:867字
「お前はもう死んでいる」と、殺し屋に言われた。詳しくはないのだけど、それはケンシロウなんじゃないかと思った。その言葉はもう擦り切れるほど使われているしパロられて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:ラストはヒーロー 必須要素:聖書 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:1003字
「ショーシャンクの空にでは、聖書の中にハンマーが隠してあったでしょう?」というような、得体のしれないことをその得体のしれない生物が言った。その生物についての詳細 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:気持ちいい、と彼は言った 必須要素:二号機 制限時間:1時間 読者:22 人 文字数:3149字 評価:0人
子供のころ、夏休みの自由工作でタイムマシーンを作ってしまったことがある。あだすの実家は駅の近くにあり、子供のころはよく駅と隣接していたコンテナ置き場に友達などと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:マイナーな闇 必須要素:靴の中敷 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:1216字
雨の日、自転車をこいでいたら靴の中に水が入った感覚があった。靴に水が入った感覚というのはとても気持ち悪いものである。水の入らない靴がほしいと毎年サンタさんにお願 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:どこかの食事 必須要素:学校使用不可 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:963字
学生時代、学食とかがない学校で過ごしていたので、学食的な話題が一切なくて、テレビとか漫画とかで学食の会話とか、学食での会話とかしていると、キーってなることが多か 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:ラストは独裁者 必須要素:ホモ 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:728字
女性同士で子供ができたら地方の市議会議員とかの人がたまにする、女性は子供を産むべきみたいな妄言もなくなるはずである。ちなみに、有史以来そういう事を言う人は尽きな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:記憶の門 必須要素:四国 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:827字
昔ある友人宅に泊まった覚えがある。夏のころ、今頃だったと思う。長い休みの中の一日だったと思う。だから多分夏休みだったんだろうと思う。その友人宅にはご飯を食べてか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:意外な湖 必須要素:芥川賞 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:1166字
レイクサイドマーダーケースを観て、レイクサイドを読んだので、湖に行きたくなった。「山中湖とか行こうかな」と思ったがすぐにその考えを捨てた。個人的な話になるが学生 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:2000字 評価:1人
お盆なので、死んだ人が帰ってきた。僕はその日東京ビックサイトの東棟にあるお盆特別企画死んだ人復活ゾーンに来ていた。東京ビックサイトは人がたくさんいて、コミケみた 〈続きを読む〉