お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:91 人 文字数:1728字 評価:0人

先祖返り
 平和のための犠牲に彼はMになった。
 通称殴られ代行。
 元々身体が丈夫というか、先祖返りの影響でそうなってるだけに過ぎない。
「大丈夫?」
「大丈夫。痛いけど、殴ってる方が痛いだろうから」
 彼の視線をその殴ってた方にむけると、たしかに手から血が流れ落ちてった。
「まだやるかい?」
 殴った相手は首を振るとその場を後にした。
「今日ははやかったね」
「中学生だったからね。大した想いも拳にのってなかったし……むしろ殴り方を教えてくれって頼まれたよ」
 なるほど、殴られるからには殴り方もしってるとさっきの相手は考えたわけか。
「でも、それはできないからね」
 彼は構えるとコンクリートの壁にストレートパンチをぶち込んだ。
 耳を劈く音にふさわしい穴がそこにできてた。
「人殺しを作るわけにもいかないよ」
「境界線があるものね、踏み込んじゃいけないライン」
 うんと彼は満足そうに笑う。
 今日は10人にも殴られたっていうのにどこも怪我をしたようすはないし、疲れてる様子も見せない。本当にただ殴られるだけのM。
「お金とかとったらいいのに」
「それじゃ、平和的解決にならないよ。ストレス解消にお金を使う趣味は他にあるだろうし、気兼ねなく……しかも相手が怪我をしないならってなるじゃない?」
 うーんと私は首を傾げる。
「そのせいで変な組と揉めたじゃない?」
「そんなこともあったね。なかなかスリル満点な空気だったよ」
 先祖返りした仲間の力によって、畏怖を埋め込まれた組は今じゃ私たちの配下になってしまった。
 そうやって少しずつ少しずつ浸透して、彼の言う『平和』という形になってきた。
「普通の人に生まれたかったとか思わない?」
「うーん、思う時もあるしないときもあるよ」
 相変わらず中途半端な考えだ。彼らしいといえば、彼らしくて誇らしくもある。
「君のほうがもっと平和的にことを進めたらいいんじゃない?」
「そうだね。指に血がこびりつくのはちょっとね」
 ため息がよく聞こえた。
「犬の耳は便利だよ。あと爪とかね」
 今は赤いけど、本当はきれいなんだと彼に見せても納得してくれない。
「ご当主さまだから先祖返りの違反はやっぱり?」
「うん、私がよくても周りがダメっていうからね。ほっとくと一族皆殺しだとかって広がっちゃう」
 笑いごとじゃないよと、そっと彼が肩に手を置いてきて、
「ん? 今日は終わりなの?」
 そのまま立ち去ろうとするので肩越しに振り返る。
「いや、そっちのお仕事が残ってるんだろ?」
 
 ーーやっぱりわかっちゃうものなのか。

「ふふ、力には逆らえないってことなのかな?」
「よせよ、好きでもないことをやるってからにはそれ相応の代価がーー」
 彼が何かを言う前にその口を急いで口で封じてしまう。
「これでいい? あぁ、口きってたから血の味がしちゃったかも?」
「……はぁ、ほんと当主様ってやつは」
 何を考えてるんだかわからないと彼は私のほっぺたをつついてきた。
「せっかく石と混じった先祖返りさんなんだから、私のボディガードちゃんとしてよね」
「いまいち必要あるとも思えないがな」
 そういって彼は親指で後ろを指す。
「あはは、大群になっちゃからね。実のところ戦闘指揮とってくれる人が欲しかったんだ!」
 彼が指差したところに影が1つ、水が1つ、炎が1つ生まれ人の形に次々となってく。
「私1人で良いって言ったんだけどね、あなたが一緒にいると嫌らしいの」
「……それ本気でわかって言ってるのか?」
 にやりと私は笑って、
「当然じゃない。最強のパートナーなんだから、周りが認めなくても認めさせるわ」
 彼が普通の世界で平和を作ろうとしてるように、私も先祖返りした異能者で平和を作らなきゃ。
「私いつかね! 平和なデートがいつかしたい! 遊園地とかで犬の耳出したり吠えたりしたい!」
「あぁそうだな。俺も石になったら重量で加速するかもな?」
 ぶっきら棒に頬を赤く少し染めた彼は、現れた仲間たちの元へとあるいてどつかれてく。
「……」
 見慣れた光景。
 これでも……まだ平和なのだ。
 お父様がつぶしてくれた地獄よりーー
作者にコメント

対戦作品一覧


ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:132 人 文字数:2000字 評価:1人
お盆なので、死んだ人が帰ってきた。僕はその日東京ビックサイトの東棟にあるお盆特別企画死んだ人復活ゾーンに来ていた。東京ビックサイトは人がたくさんいて、コミケみた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:松竹輪子 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:119 人 文字数:1497字 評価:1人
次の文章を読んで頂きたい。「ぐふぐふふ ぐぐ ふふぐ ふふぐふぐ ふふぐぐ ぐぐふぐぐ ぐふぐぐふ ぐぐふふぐ ふふぐふふ ぐふふふ ぐふふ ふふぐ ふぐふふ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:87 人 文字数:2000字 評価:0人
丘の下を兵隊さんが行進していった。男なのにスカートを履いて、へんてこな帽子をかぶり、長銃を肩に担いでいる。音楽隊のかき鳴らす楽器の音に合わせて、一糸乱れぬ動き 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:91 人 文字数:1728字 評価:0人
平和のための犠牲に彼はMになった。 通称殴られ代行。 元々身体が丈夫というか、先祖返りの影響でそうなってるだけに過ぎない。「大丈夫?」「大丈夫。痛いけど、殴っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:inout お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:124 人 文字数:2000字 評価:0人
ぐふ、ぐふふふ……鳴き声とも笑い声ともつかない声が机の中から聞こえた。学校での休み時間、蒸し暑さ成分が教室どころか市内全体を包み、ぼーっと窓の外を見ていたときの 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:賢くない賢者@蒸気的名目現実 お題:ぐふふ、平和 必須要素:1500字以上2000字以内 制限時間:1時間 読者:109 人 文字数:612字 評価:0人
1年で3000人の財布を盗み、年収1億円を誇っていたスリの王、徳野原権蔵は司法取引により警察の捜査に協力し、その見返りとして、警察に直接協力する以外の全ての時間 〈続きを読む〉

日ノ宮理李@ハナねね町長の即興 小説


ユーザーアイコン
145 ※未完
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:儚い秀才 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:625字
『また会いましょう』と彼女は言った。『どこで?』と聞く前に彼女はぼくの元を去った。 たったそれだけの思い出。しかも夏の海での出来事だった。 夏の甘い思い出として 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:楽観的ないたずら 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:899字
いたずらがいたずらと認識されないのならば、犯罪も犯罪ではない。 とはいえ、死体が転がる街というのはおかしさに溢れてる。見渡すかぎり、死、死、死が転がってる。其 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:とてつもない独裁者 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:1011字
「えっとそのなんでしょうか?」「話しかけてきたのはそっちが先だよね? わたしが答える必要ある?」「うーん、特に理由はないんだけどさ、いつも怒ってるよね」「怒って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:同性愛の木 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:802字
愛が永遠であるならば、それはきっと素晴らしいものだろう。色あせないものとして色んな場所に咲き続けこの世を支配もできた。 そんな素晴らしく美しいものは、今の私に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
※未完
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:愛と欲望の食器 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:806字
見知らぬ声を頼りに教室の中へ入ったのはいいが、「あれ」 なぜか扉が閉まった。おまけに聞こえたはずの人はどこにも見当たらない。 学校の設備がオートロックであるな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:真実の天使 制限時間:15分 読者:29 人 文字数:1051字
桃色の天使が降臨した時、僕は言葉を失った。 正確にいうならば、どうしたらいいのかわからなかったし、転んだ痛みで余計に理解しにくかった。 天使は転んだ僕を介抱し 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:生かされた町 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1009字
「いつ戻ってくるんですか?」 私の声に、彼が立ち止まる。でも……振り返ってもらえなかった。 門という壁がわたしたちを拒絶してた。「わたしたちはあなたに感謝してい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:つまらない体験 制限時間:15分 読者:31 人 文字数:1097字
部活が廃部になると聞いて久々に部室へ顔を出した。「……うす」 いかにもガラが悪いやつが入ったからか、視線が痛い。 これでも部長なんだけど……いや形だけだけど。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:そ、それは・・・王子 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:1206字
「それでこれはなんていうんだい?」「えっと……その」 彼の接近に気がついたときにはもう遅かった。 音もなく忍び寄るってか……護衛もいらない滞在人ってのがよくわか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:彼と諦め 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:960字
大好きな先輩と後輩が恋人になった。「……」 部活で二人はより一層近くで作業するようになった。 花の世話ということもあって、男手が必要なところがあるから、一緒に 〈続きを読む〉