お題:強い扉 制限時間:30分 読者:30 人 文字数:656字
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全力で日焼けしたくない
 夏だ! と言って両手を挙げて喜べる時代は終わった。そろそろ紫外線の悪影響を考えなければ。
 そんなことで、今年の夏はなるべく外に出ない、または出かけても日よけ対策ばっちりの完全防備をすることにした。海の日を手放しで喜んで海に行くなんてことはない。
「ということで、帰れ」
「何よーぉ。完全防備でいいから行こうよ海ぃ」
 玄関のドアを挟んで、親友との攻防。相手は海水浴に行く気満々の格好で、私を誘いに来ている。私は魚眼レンズから親友を覗いて、彼女の薄着ったら日焼けを考えているのかと頭が痛くなった。
「海水浴なのになんで完全防備していかないといけないの。浮くわ」
「じゃあしなきゃいいのよ、完全防備」
「いいえ、海水浴に行かなきゃいいの」
「もう埒があかないので最終手段いきまーす」
 じゃん、と魚眼レンズにちらつかせたのは鍵だった。その鍵にはクマのキーホルダーがついていた。
「ちょ……! それ、うちの鍵!」
「あんたのお母さんから借りてきたの」
 慌ててドアを押さえた。ロックする時間もなく解錠され引っ張られるドア。ドアにロックを掛けたいが、どちらかの手でも離してしまおうものならドアが開けられてしまう、両手を使ってようやく均衡を保っているようだった。
「うわっ、あんた力強っ。びくともしないじゃん。何これ? 扉強くない? 鉄壁の守りなの?」
「行きたくないって、言ってるんだから、早く諦めなさいよ、バカ!」
 全力で拒否してるんだから早く海に行って遊んでくればいいのに、とドアを押さえ込みながら思っていた。
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