お題:でかい話 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1106字

おおきくなるうわさ
 話がどんどん大きくなってしまう、という状況を体験したことがある。
 わたしは中学生の頃、友達だった「自称・霊感少女」に連れられて、自分の住んでいる市内にある山に行ったことがある。霊感少女曰く、ここは「幽霊がたくさん蠢いている」らしい。
 まあいわゆる肝試しなのだが、その山というのが取り立てて怖いところのない、登山コースも整備されている低い山だったことと、「門限がある」という霊感少女の希望から日曜の真昼間に行われたことなどから、まったくもって迫力がなかった。
 じゃあ怖くなかったかといえばそうでもなくて、自称霊感少女がことあるごとに「聞こえる……っ」とか「ほら、あそこ……っ」などと必死の形相で話しかけてくるので、「お前の顔が一番怖いよ」という状態に陥ってしまった。
 その一件で、わたしは「こいつホントにやべえ」と、その霊感少女についての認識を改め、友達付き合いをやめる決意をした。徐々にフェードアウトしていき、翌年はクラス替えで分かれ、高校も別々だったのでその後のことは知らない。
 ただ、その肝試しだかピクニックだったか分からないあの時の行動が、後々尾ひれがついて広まることになるのだった。
 最初に大きくなったその話を聞いたのは、高校二年生の時だった。例の登山は中学二年生の時だったので、およそ二年後のことである。
「鈴木さん、あの山出るらしいよ」
 そんなことをあるクラスメイトが言い出したのだ。
「何か、中学生が二人肝試しに行って、一人しか帰って来てないんだって……」
 どっちだ。その話を聞いた時、まずわたしは思った。どっちが帰って来てないんだ。
 普通に考えれば、それはわたしのことだろう。何故なら、「あの山は出る」「中学生が肝試しをした」、この二つの情報を持っていて口に出すのは、あの霊感少女以外にないのだから。
 つまり、どこぞの別の高校に進学した霊感少女が、盛って語った話が、巡り巡って話の上ではいなくなったはずのわたしのところにまでやってきた、ということなのだ。
 はー、というしかなかった。こうして噂というのは出来上がるのかと。
 次いで聞いたのは、大学に入ってからだった。
 わたしは別の地方の大学に通っていたのだが、そこで地元の名前が出た。
「今、まとめサイトで怖いって噂になってる話、あれ鈴木さんの地元だよね?」
 そう言いながら、その知り合いが見せてくれた話は、とんでもないものだった。
 確かに、地名はぼかされているが、もろにわたしが住んでいたあの街のことだ。
 しかし、その中身……。あの痛々しい霊感女め、と舌打ちしたくなる。
 何でわたしが妖怪にされてるんだよ。
 
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
ミリタリ彼女 ※未完
作者:きなこもち お題:彼女と撃沈 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:421字
「だからこの式を解けば82になるだろ」 「82…バレットM82…」 「いい加減に頭からミリタリー関係は忘れろ」 「疲れていると頭が働かないであります…休憩にし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:下上右左 お題:アブノーマルな火 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:757字
「なあ、ほんとにやるのか?」岩肌の山の斜面に座り込んだまま、僕は渋い表情を隠そうともせず聞いた。「当然、そのためにここに来た」僕を見下ろしながら、ヘルメットやら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:Hunter R. お題:賢いうどん 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:378字
その店は、僕の最寄り駅の一つ先にあった。会社の送別会の帰り道、しこたま酔っ払った僕が気づいたときにはもう遅く、乗り過ごしてしまったのだ。まぁ歩いて帰ろうか、そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
海亀の動き ※未完
作者:Hunter R. お題:近い光景 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:297字
昨日の夜十時に布団に入ってから、もう二十時間が経っていた。携帯で、ショスタコーヴィチの交響曲第5番を、三回も聞いている。天井から目を外し、布団の横を見ると、中 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
怪盗の血 ※未完
作者:日ノ宮理李@ハナモモと美弥花 お題:許せない足 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:1112字
「うぅ……」 朝起きると、腰に痛みを感じる。 寝相の悪さは数年一緒に暮らしてても改善されるわけでもなく、「縛ったはずなのに……」 眠ったことを確認して縄で綺麗に 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:Masaki=就寝=Hara お題:ラストは検察官 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:598字
最近、家に色々な客がくる。はじめに来たのは私の恋人だった。私の住所は教えていないにも関わらず、彼女はやってきた。私は、家のものに許可なく触れないよう念を押して、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:とうこ@アナコン西3カ24b お題:苦い冬 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:885字
いきなりだけど僕は冬が嫌いだ。みんなどうしてこの冬という季節を愛せるのだろうか。寒いのなんてありえない。温暖な気候にいながらどうしてこんな身の凍る地獄を味わわな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あるくんです お題:重い哀れみ 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:930字
一人で椅子に座って、空を見上げた。 空だと思ったそれは、ただの天井と蛍光灯だった。少しだけ蒸し暑くなってきた。この部屋に冷房はない。僕は、帰って来たのだ。何も 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まろやかに傾く人 お題:愛、それは教室 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:311字
一組の男女の学生が教室で話をしていた。「おそらく、僕と君は将来結婚するのだろう。」「そうね、きっとそうなるわ」「だとしたら子供をどうするかというのは一つ問題じ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
みかん ※未完
作者:Ken@ハジケリスト お題:1000の墓 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:218字
「この公園にはね、僕の友達が眠ってるんだ」そんな風に、得意気に言った少年は、皆にポンタと呼ばれていた。本田という名字が由来だった。----この公園に、友達が眠っ 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:神のデザイナー 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:1017字
堀川シンという男は、木彫りの「守り神」を売って生計を立てている彫刻家だ。 彼の作る「守り神」は依頼人ごとのオーダーメイドで、製作には一か月ほどかかる。「削り出 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:暑いオンラインゲーム 必須要素:にゃんまげ 制限時間:1時間 読者:40 人 文字数:3708字 評価:2人
山井さんはわたしの大学の先輩で、優秀なエンジニアだった。 ゲーム業界に入りたかったが、就職活動の結果それは叶わず、かわりに他人がうらやむような大きな企業に入社 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:空前絶後の紳士 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:949字
紳士的な人間の数は少ない。「ということで、紳士ロボを作ってみました」 そう発表したのは、マツシバという大手電機メーカーのロボット開発部であった。 紳士ロボは山 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:阿修羅団欒 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:998字
ブルドという冒険者は、「狂戦士」の二つ名で呼ばれる有名な冒険者だった。常人の二倍近い体躯と、それを包む鋼鉄の鎧。兜の奥では血走った目が爛々と輝き、一度火がつけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:コーヒーと動揺 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1036字
わたしがマネージャーをしているアイドルグループ「あるこ☆晴レーノ」のセンター・リリアンは、非常にプライドが高い。 何も汚れ仕事のようなことを嫌がる、というわけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:オレだよオレ、暴走 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1106字
「もしもし、母さん? オレオレ!」 受話器を取った途端これだ。わたしは「うわぁ」と内心で呻いた。 有給を消化して、わたしは実家に帰省していた。まさかそんな時にオ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:でかい話 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1106字
話がどんどん大きくなってしまう、という状況を体験したことがある。 わたしは中学生の頃、友達だった「自称・霊感少女」に連れられて、自分の住んでいる市内にある山に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:地獄監禁 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:950字
長時間労働や無理な勤務、残業をさせて社員を何人も過労死ないし過労自殺に追い込んだとある会社社長の魂について、地獄側は「受け入れを拒否する」旨を通告してきた。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:失敗の巨人 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:27 人 文字数:3943字 評価:0人
セルディノール王国辺境の港町・ヴィノンからはるか沖合に浮かぶ孤島・ダム島。 ここでは、王国の「天才科学者」と謳われたバクスター博士によって、巨大な人型兵器の研 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:刹那の月 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:1107字
大学で宇佐美の姿をまったく見なくなって、一週間が経つ。 誰か行方を知らないか、と言われたことでようやく気が付いた。 それぐらい付き合いとしては薄い相手――英語 〈続きを読む〉