お題:でかい話 制限時間:15分 読者:121 人 文字数:1106字

おおきくなるうわさ
 話がどんどん大きくなってしまう、という状況を体験したことがある。
 わたしは中学生の頃、友達だった「自称・霊感少女」に連れられて、自分の住んでいる市内にある山に行ったことがある。霊感少女曰く、ここは「幽霊がたくさん蠢いている」らしい。
 まあいわゆる肝試しなのだが、その山というのが取り立てて怖いところのない、登山コースも整備されている低い山だったことと、「門限がある」という霊感少女の希望から日曜の真昼間に行われたことなどから、まったくもって迫力がなかった。
 じゃあ怖くなかったかといえばそうでもなくて、自称霊感少女がことあるごとに「聞こえる……っ」とか「ほら、あそこ……っ」などと必死の形相で話しかけてくるので、「お前の顔が一番怖いよ」という状態に陥ってしまった。
 その一件で、わたしは「こいつホントにやべえ」と、その霊感少女についての認識を改め、友達付き合いをやめる決意をした。徐々にフェードアウトしていき、翌年はクラス替えで分かれ、高校も別々だったのでその後のことは知らない。
 ただ、その肝試しだかピクニックだったか分からないあの時の行動が、後々尾ひれがついて広まることになるのだった。
 最初に大きくなったその話を聞いたのは、高校二年生の時だった。例の登山は中学二年生の時だったので、およそ二年後のことである。
「鈴木さん、あの山出るらしいよ」
 そんなことをあるクラスメイトが言い出したのだ。
「何か、中学生が二人肝試しに行って、一人しか帰って来てないんだって……」
 どっちだ。その話を聞いた時、まずわたしは思った。どっちが帰って来てないんだ。
 普通に考えれば、それはわたしのことだろう。何故なら、「あの山は出る」「中学生が肝試しをした」、この二つの情報を持っていて口に出すのは、あの霊感少女以外にないのだから。
 つまり、どこぞの別の高校に進学した霊感少女が、盛って語った話が、巡り巡って話の上ではいなくなったはずのわたしのところにまでやってきた、ということなのだ。
 はー、というしかなかった。こうして噂というのは出来上がるのかと。
 次いで聞いたのは、大学に入ってからだった。
 わたしは別の地方の大学に通っていたのだが、そこで地元の名前が出た。
「今、まとめサイトで怖いって噂になってる話、あれ鈴木さんの地元だよね?」
 そう言いながら、その知り合いが見せてくれた話は、とんでもないものだった。
 確かに、地名はぼかされているが、もろにわたしが住んでいたあの街のことだ。
 しかし、その中身……。あの痛々しい霊感女め、と舌打ちしたくなる。
 何でわたしが妖怪にされてるんだよ。
 
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