お題:免れた人体 制限時間:30分 読者:48 人 文字数:539字

練習五日目

「小学生の頃に打ったBCGの注射って、当時は人体実験か何かかと思ったんだよね。だってほら、ハンコ注射っていうの? あれ、よく見る注射と形が違うじゃん」
「わかる。今思うと拷問っぽいよね」

 とあるファストフード店でハンバーガーを齧っていると、隣に座っていた女性二人の話声が聞こえてきた。恐らくは同年代くらいだろう。昼時を過ぎているからか、彼女達の声はよく響いている。

「あれって、何であんな形してるのかな?」
「さあ? でも、超怖かったのは覚えてる。今でも痕残ってるし」
「あー! わかるー!」

 肩の辺りを擦って、二人が楽しそうに笑う。ううむ、誰でも考えることは同じなんだな。ハンバーガーを食べ終え、アイスコーヒーを飲む。

「……そういえば。都市伝説か何かで聞いたことない? あの注射が実はBCGじゃなくて、全然違う薬だっていうの。新薬とか、洗脳の薬とか、そういうのが注射されてる人も居るみたいだよ」
「えー、何それこわっ!」
「ねー。でもさー、本当に違う薬が注射されててもわかんないよね」
「こうやって生きてるから大丈夫でしょ、多分」

 楽しそうに笑う二人。やれやれ、この国は平和だなぁ。二人の会話を名残り惜しく思いつつ、食べ終えたゴミを捨てて店を後にした。

作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:免れた人体 必須要素:九州 制限時間:30分 読者:48 人 文字数:691字
視界モニタにはたくさんの化学物質の名前が並ぶ。わたしの「身体」にはさしたる影響もないものばかりだが、この場所の殺風景さを助長している気はした。直線とモノトーン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
偽装の事実 ※未完
作者:匿名さん お題:打算的な恋愛 制限時間:30分 読者:4 人 文字数:652字
目の前で糸からぶら下げた五円玉をゆらゆらされても、私の心はまったく揺れない。相手である親友が真剣な、必死な顔をしていたから、私は気乗りしない本音を隠して、真面 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:黒宮薫 お題:残念な床 制限時間:30分 読者:8 人 文字数:1811字
椿さんの周りはいつも煙たかった。彼女はヘビースモーカーで、煙草を吸っていないときの方が珍しいくらいだった。僕は非喫煙者なので煙草の煙は嫌う性質だが、彼女がいつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宮原 桃那 お題:暴かれた娼婦 制限時間:30分 読者:14 人 文字数:1649字
その娼館には、絶対に姿を見る事の出来ない娼婦が居るという。「顔を見せてくれないか」 そう嘆願する男達に、彼女は薄布で顔を隠しながら、艶のある声だけ返すのだ。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:せぶんさん お題:誰かは修道女 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:1446字
「かたつむりはどうして、いつもゆっくり歩いてるの」 ある日の私はそう尋ねた。話し相手は決まってナオさんだった。優しくて、ちゃんと私の話を聞いてくれるから、ナオさ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:宮原 桃那 お題:誰かは修道女 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:956字
私はキャロル。とある修道院に身を寄せるシスター。 でも、ここは経営が行き詰まっていて、最近は何だか怖い人が来る。「シスター・キャロル。いい加減にここを出て、儂 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:瓜ノ助 お題:悲観的な海 制限時間:30分 読者:15 人 文字数:1108字
「やっほー」「………」「山じゃないんだし返ってくるわけないか」「そりゃそうですよね」「………」「…なんでしょう?」「ちょっとくらいノッてくれたっていいじゃん」「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:鮭とば子 お題:ありきたりな新卒 制限時間:30分 読者:120 人 文字数:1423字
ひどく退屈な女だった。「自分のやりたいことがわからないんです」 小机を挟み、真向いの席に座る女は、そう言って俯き、続く言葉を探し出せず、手元にあったオレンジジ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:鬼龍院asanuma お題:去年のふわふわ 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:995字
「そんなふわふわした態度で受験に臨んだら、受かるものも受からないぞ」「うるせーな」「お前のために言ってるのに、父親に向かってその態度はなんだ!」 タバコの火を消 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:燃える探偵 制限時間:30分 読者:18 人 文字数:561字
彼はうつ伏せに倒れたまま動かない。彼の視界は定まらず、意識は朦朧としていた。 一刻も早く、この場から抜け出さなくてはならない。頭では理解しているが、体は指先で 〈続きを読む〉

風嵐むげん@カクヨム★の即興 小説


ユーザーアイコン
練習三十日目 ※未完
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:8月の孤島 必須要素:幼女 制限時間:15分 読者:29 人 文字数:251字
暑い。八月の孤島にフィールドワークに来たは良いものの、頭上からガスバーナーで炙られているかのような暑さに思わず日陰で休むことにした。「ねえ、お兄さん。今日も暑 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:輝く稲妻 制限時間:15分 読者:45 人 文字数:175字
空に輝く、紫色の稲妻。恐ろしくも美しい光景に、私は心を奪われた。 時として雷は広大な森林を焼き払ったり、多くの命を奪う。夜中でも空を眩しい程に明るくし、地面を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:プロの探偵 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:186字
「ドラマやアニメの探偵って、よく殺人事件の現場で犯人やトリックを推理していたりするけど……実際の探偵ってあんまりそういう事件の推理ってしないらしいね」「そうなの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:官能的な唇 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:295字
蜂蜜のような、甘い香りが鼻腔を擽る。嗅ぎ慣れない匂いに意識は覚醒まで引っ張り上げられ、僕は重たい目蓋を無理矢理にこじ開けた。そして、自分の腰に跨るその女を見つ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:春の能力者 制限時間:30分 読者:30 人 文字数:1007字
彼女は花を咲かせることが上手い。特に春の花を美しく咲かせることには群を抜いており、彼女が営む花屋にはいつも客足が絶えなかった。 魔法学校を中退してから、早いも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:少年の脱毛 制限時間:30分 読者:45 人 文字数:762字
「えーっと……すみません、その手に持つクリームは何ですか?「ふっふっふ……これはー、腕や足のムダ毛を綺麗に取ってスベスベにしてくれる優れものなのです」 真新しい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:緩やかな奈落 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:292字
それは、緩やかな奈落へ続く一本道のように思えた。そこまで転がり堕ちられるのなら簡単なのに、道のりは緩やかだからそれも出来ない。底辺なのに歩いて行くしかないだな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:名付けるならばそれは人々 制限時間:15分 読者:51 人 文字数:370字
世の中に存在する物事には、必ず名前がついている。これまで生きてきた人間達が、とても長い時間をかけて一つ一つを示す名前を付けていったのだと思うと中々に感慨深い。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:わたしの好きな場所 制限時間:30分 読者:28 人 文字数:573字
ふと思い立って、僕はその場所へとやって来た。ずっと変わっていない筈なのに、あの頃よりもきつく感じる上り坂を必死に歩く。息を切らしながら歩を進める内に、踏み固め 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:生かされた殺し屋 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:515字
男は夜の街を必死に逃げていた。既に灯りがある家やビルは少なく、街灯さえもくすんでいる。それらは彼の恐怖を煽ると同時に、仄暗い安堵感も与えてくれていた。 光を避 〈続きを読む〉