お題:免れた人体 制限時間:30分 読者:92 人 文字数:539字

練習五日目

「小学生の頃に打ったBCGの注射って、当時は人体実験か何かかと思ったんだよね。だってほら、ハンコ注射っていうの? あれ、よく見る注射と形が違うじゃん」
「わかる。今思うと拷問っぽいよね」

 とあるファストフード店でハンバーガーを齧っていると、隣に座っていた女性二人の話声が聞こえてきた。恐らくは同年代くらいだろう。昼時を過ぎているからか、彼女達の声はよく響いている。

「あれって、何であんな形してるのかな?」
「さあ? でも、超怖かったのは覚えてる。今でも痕残ってるし」
「あー! わかるー!」

 肩の辺りを擦って、二人が楽しそうに笑う。ううむ、誰でも考えることは同じなんだな。ハンバーガーを食べ終え、アイスコーヒーを飲む。

「……そういえば。都市伝説か何かで聞いたことない? あの注射が実はBCGじゃなくて、全然違う薬だっていうの。新薬とか、洗脳の薬とか、そういうのが注射されてる人も居るみたいだよ」
「えー、何それこわっ!」
「ねー。でもさー、本当に違う薬が注射されててもわかんないよね」
「こうやって生きてるから大丈夫でしょ、多分」

 楽しそうに笑う二人。やれやれ、この国は平和だなぁ。二人の会話を名残り惜しく思いつつ、食べ終えたゴミを捨てて店を後にした。

作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:免れた人体 必須要素:九州 制限時間:30分 読者:73 人 文字数:691字
視界モニタにはたくさんの化学物質の名前が並ぶ。わたしの「身体」にはさしたる影響もないものばかりだが、この場所の殺風景さを助長している気はした。直線とモノトーン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:Os@夏新刊『羅針』 お題:死にぞこないのギャグ 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:1136字
いや、人生は最後には喜劇に仕上がるように出来ているんだよ。それが彼の口癖だった。某府、某公園のホームレスのテントが並ぶ区域。ホームレスのホーム。確かに喜劇かもし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:失敗の小説家 制限時間:30分 読者:4 人 文字数:375字
絵画を観る眼、音楽を聴く耳。これらは神様が作った。 しかし言葉は人が作った。 小説を書くことに才能はいらない。 絵も描けないし、楽器も弾けないけど小説なら・・ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
溺死 ※未完
作者:空木春宵 お題:絵描きの朝 制限時間:30分 読者:50 人 文字数:602字
生ぬるい空気を掻き分け掻き分け、夜気に充たされた霊園を抜け、蛇の背のようにくねりながらだらだらと続く階段を下って行った先。低い崖に水際を寄せた、静かに底光りする 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
青き ※未完
作者:ずいちゃん お題:イタリア式の空 制限時間:30分 読者:24 人 文字数:2671字
「ねえ、先生?」 ユミはたずねた。窓辺に腰を下ろして、ぼんやりと頬杖をつきながら、眠たそうな声で、穏やかに。 その見つめる先には一面の青がある。無数の青がいっぱ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:Os@夏新刊『羅針』 お題:女同士の終身刑 制限時間:30分 読者:33 人 文字数:1075字
「あー」「どうしたの?」二人で見晴らしの良い高台から町を見下ろす。「あー、あ」彼女は正面を指差した。「あそこに何かあるの?」「あー!」お互い、もう二十代も後半だ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:冬の死刑囚 制限時間:30分 読者:9 人 文字数:575字
信号弾が夜空を赤く染めてから数分後、僕たちの乗った船は誰のともわからない船に横付けされた。横付けしてきた船はどこかの国家の船のようだった。船にも乗組員の胸にも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:Os@夏新刊『羅針』 お題:憧れの投資 制限時間:30分 読者:21 人 文字数:1164字
必死にキーボードを叩く。こんなにも生き生きと文章を書くのはいつぶりだろう?「拝啓、田中棚次郎様、今回の作品にとても感動いたしました――この田中という男。いや、男 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
? ※未完
作者:此粕谷楼 お題:バイオ囚人 制限時間:30分 読者:9 人 文字数:1577字
ひょんな事から数百年後の未来にタイムスリップした僕は、高度に発達した文明と様変わりした文化慣習、そしてその中に息づく伝統を感じて時の流れの壮大さを実感していた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:純華 お題:おいでよ祖父 制限時間:30分 読者:14 人 文字数:1889字
「ねーねー、『おいでよジジイ』って知ってる?」「何それぇ! 私、初めて聞いたぁ!」「俺も初めて聞く!!」7月の平安小学校。みんなの話題は専ら、明日から始まる夏休 〈続きを読む〉

風嵐むげん@カクヨム★の即興 小説


ユーザーアイコン
練習三十日目 ※未完
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:8月の孤島 必須要素:幼女 制限時間:15分 読者:62 人 文字数:251字
暑い。八月の孤島にフィールドワークに来たは良いものの、頭上からガスバーナーで炙られているかのような暑さに思わず日陰で休むことにした。「ねえ、お兄さん。今日も暑 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:輝く稲妻 制限時間:15分 読者:87 人 文字数:175字
空に輝く、紫色の稲妻。恐ろしくも美しい光景に、私は心を奪われた。 時として雷は広大な森林を焼き払ったり、多くの命を奪う。夜中でも空を眩しい程に明るくし、地面を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:プロの探偵 制限時間:15分 読者:73 人 文字数:186字
「ドラマやアニメの探偵って、よく殺人事件の現場で犯人やトリックを推理していたりするけど……実際の探偵ってあんまりそういう事件の推理ってしないらしいね」「そうなの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:官能的な唇 制限時間:15分 読者:79 人 文字数:295字
蜂蜜のような、甘い香りが鼻腔を擽る。嗅ぎ慣れない匂いに意識は覚醒まで引っ張り上げられ、僕は重たい目蓋を無理矢理にこじ開けた。そして、自分の腰に跨るその女を見つ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:春の能力者 制限時間:30分 読者:80 人 文字数:1007字
彼女は花を咲かせることが上手い。特に春の花を美しく咲かせることには群を抜いており、彼女が営む花屋にはいつも客足が絶えなかった。 魔法学校を中退してから、早いも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:少年の脱毛 制限時間:30分 読者:91 人 文字数:762字
「えーっと……すみません、その手に持つクリームは何ですか?「ふっふっふ……これはー、腕や足のムダ毛を綺麗に取ってスベスベにしてくれる優れものなのです」 真新しい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:緩やかな奈落 制限時間:15分 読者:71 人 文字数:292字
それは、緩やかな奈落へ続く一本道のように思えた。そこまで転がり堕ちられるのなら簡単なのに、道のりは緩やかだからそれも出来ない。底辺なのに歩いて行くしかないだな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:名付けるならばそれは人々 制限時間:15分 読者:97 人 文字数:370字
世の中に存在する物事には、必ず名前がついている。これまで生きてきた人間達が、とても長い時間をかけて一つ一つを示す名前を付けていったのだと思うと中々に感慨深い。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:わたしの好きな場所 制限時間:30分 読者:65 人 文字数:573字
ふと思い立って、僕はその場所へとやって来た。ずっと変わっていない筈なのに、あの頃よりもきつく感じる上り坂を必死に歩く。息を切らしながら歩を進める内に、踏み固め 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風嵐むげん@カクヨム★ お題:生かされた殺し屋 制限時間:15分 読者:72 人 文字数:515字
男は夜の街を必死に逃げていた。既に灯りがある家やビルは少なく、街灯さえもくすんでいる。それらは彼の恐怖を煽ると同時に、仄暗い安堵感も与えてくれていた。 光を避 〈続きを読む〉