お題:鋭い星 必須要素:下駄箱 制限時間:15分 読者:148 人 文字数:1016字

ギラギラ

 下駄箱に、何か入ってる。
 隙間から白い何かがのぞいているのだ。
 稔は不思議そうに蓋を開いた。
 入っていた物は手紙だった。
 それは妙に日に焼けて色あせた便箋だった。ラブレターというにはいささか奇妙だった。
 稔は小学校三年生。
 色恋沙汰に詳しくなくとも、それはさすがに好意と伝える物にしては変だと思った。
 手に取ってまじまじと見ていると、となりの下駄箱の芳樹がおっと声をあげた。
「おい稔、それってラブレターじゃねえの? どの女子からだよ」
 すこしだけ、声がうわずっていた。興奮しているらしい。
「わかんない。これってラブレターなの?」
「貸せよ、俺が見てやる」
 芳樹はさっ、と稔の手から手紙を取り出すと、いささか乱暴に封を切った。
 そして、
「あん? なんだよコリャ」
 と、おかしな声をあげた。
 ほれよ、と目の前に突き付けられた便箋は中の手紙も変色していた。ずいぶんと古い物らしい。
 その中にはインクで、今夜十時グラウンドにて待つ。
 とだけ書いてあった。
 差出人の名前も、要件もなにもなかった。
「なんだよ、これ。こんなラブレターねえって」
 芳樹は興味を失ったみたいに、さっさと稔にそれを返して靴を履き替えた。
 その際に、自分のからっぽの靴箱を二回見返していた。
「でも、待ってるって書いてある」
「バカ、イタズラだって。行くなよ」
 芳樹はそれだけ言い残すと、帰ってしまった。
 稔も家に帰り、晩御飯を食べて、布団に入った。
 暗くなった部屋の中で、デジタルのタイマーが九時四十分になっている。
 待ってるのかな、そう思うと少し気になった。
 そっと布団を抜け出した。
 暗くなった廊下を抜ける。お母さんはこの時間、テレビに夢中だ。
 お父さんはまだ帰っていない。
 パジャマのままでそっとスニーカーをはいて学校に行った。
 閉まっている校門を苦労して乗り越える。
 真っ暗のグランドを歩いていると、声をかけられた。
「やあ」
 同い年くらいのこどもだった。
「ぼくに用事?」
「うん。見上げてごらん」
 相手が空を見上げた。つられて見上げると、たくさんの星がキラキラと輝いていた。 
 やさしく輝く星、やわらかく輝く星。
 いっとう、ギラギラと輝く星を指さして、少年は微笑んだ。
「ぼくね、あの星から来たんだ」
 それは不思議な告白。
「遠くからきたんだね」
 稔がいうと、少年は微笑んだ。
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