お題:肌寒い小雨 制限時間:15分 読者:277 人 文字数:754字
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ふゆ(れいらん?
 降ってきた、と思ったときにはもう遅くて、どこか屋根のあるところに移動する暇もなく雨ざらしになってしまっていた。思ったよりは強くならなかったから、まあいいか、とそうしてそのまま濡れて歩くことにした。マネージャーに怒られるかもしれないな、と思ったけれど、次の現場が近くだからと移動に同行してくれなかった彼女のせいにしておこう。歩く、と言い出したのはぼくだったと思うけれど。
 細かい雨が降り注ぐ街はすこしだけ視界が悪くなって、嫌なものが見えなくなる気がした。見たくないものを見ないで歩くことは、昔から得意だったはずなのに最近どうにもうまくいかない。
 まっすぐなものに、触れすぎたせいなのかもしれない。
 ぼくには眩しすぎるから、離しておいたはずなのに、周りはどんどんそんなもので埋まっていく。後輩たちはキラキラした希望を持って、毎日仕事を楽しんでいる。ぼくだって、そりゃあお仕事は楽しいけれど、それだけの感情ではいかなくなっている。
 一等眩しい彼のことを思う。まっすぐ立ったその後ろ姿の、すこしでも近い場所にいられればいいと思う。ぼくも彼も、わざわざ待ったりなんてしないから、どんどん進んでいくその姿に追いつくのに必死だった。きみを追いかけているんだと言ったら、きっと馬鹿にするなと怒られてしまうだろうけれど。馬鹿にしているつもりなんてないのに。普段のおこないが悪いのかもしれない。いつになったら、ぼくの言葉は彼に素直に届くのだろう。
 目的地に着くと、待っていたマネージャーが案の定、眉を寄せてこちらを見ている。綺麗な顔が台無しだ。
「ああもう、ただでさえ寒くなってきたんだから、風邪でもひいたらどうするの!」
「メンゴメンゴ~」
 たしかにすこし寒いな、と思って、無償に彼の家のこたつに入りたくなった。
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