お題:プロの昼 必須要素:しめじ 制限時間:30分 読者:118 人 文字数:1658字

スーパーのプロ
 スーパーに買い物に来るのは昼がベストだ。なぜなら、一番品ぞろえが充実している時間だからである。よく賢い買い物と言って夕方や夜になってからの値引きセールを狙う方法がもてはやされているが、そんなものは邪道である。なぜ値引きされるかというと品が悪くなり始めているから、売れ残りだから値引きされているのであって、逆に言えばいい品や売れる品は夕方や夜にはもうないということなのだ。ならばいつならあるのか?その答えが昼なのである。
 私はスーパーのプロを自認している。近所のスーパーの品ぞろえだけでなく、底値や店長の名前など、把握できるものはほとんど把握しているといっていい。そして品ぞろえが充実している昼のうちにスーパーをはしごして底値の品を手に入れるのだ。ちなみに、スーパーのプロは自認であって自称はしていないので、私がプロだということは誰も知らない。もしかしたら店長レベルの店員は気づいているかもしれないが、そうだと言われたこともない。だが、プロであることは私のささやかな誇りである。
 さて、今日はこのスーパーでしめじが底値で売り出すはずだ。今日のおかずはしめじとベーコンの炒め物の予定である。しめじはここで、ベーコンは次に向かうスーパーで手に入れるのが良い。
 だが、店頭に行ってみるとしめじは売り切れていた。まさか、この昼の時間から売り切れなど考えづらい。底値であることがご近所の奥様みんなにばれたとでもいうのだろうか?私は不思議に思い、近くの店員に尋ねた。すると帰ってきた答えは、予想外のものだった。しめじの産地が大雨に見舞われ、道路が軒並み冠水し出荷が止まっているとのことなのだ。
 これでは、私の晩ご飯の計画が台無しになってしまう。そもそもなぜ買い物に昼がベストなのかというと、品物が足りなかったり予想外のものが安かったりして夜の献立に影響を与えることがないという理由だ。一番避けるべきなのは、品切れなのである。
 これではほかのスーパーでも同じかもしれない、そう思いながらも他のスーパーも廻ってみたのだが、やはりしめじは置いていなかった。
 どうする?今日はもうしめじとベーコンの炒め物を作るつもりでほかの献立も立てたし、そのための材料ももう買ってしまった。今更しめじが手に入らないがために計画を変更することはできない。
 私は最終手段に頼ることにした。この最終手段に頼るなど、スーパーのプロの名が泣く。その上、この最終手段は確実でもない。しかし、それでも献立の計画変更はできないのだから仕方がない。私は苦虫をかみつぶしながらこの最終手段、コンビニへと足を向けた。
 コンビニの物流はスーパーの仕入れとは違う、独自のものだ。つまり、独自ルートのしめじが入っているかもしれない。しかしコンビニはスーパーとは違う。自炊のための材料は雀の涙程度しかそろっていない。その雀の涙から、さらにしめじという砂金の一粒を見つけなければならない。
 一件目、ない。二件目、もない。三件、四件と梯子をしてもしめじはなかなか見つからない。近所のコンビニでもしめじは全滅だった。
 今晩の献立、完璧に立てたはずの献立をしめじがないただそれだけのためにすでに買った材料も無為にして変えなければならないのか。もう近所にしめじが売っていそうなお店などないし、時間もそろそろ夕方を過ぎようとしている。プロであるはずの私が敗北するのか…。
 そう思ったときに、ふとある店が頭に浮かんだ。もしかしたら。私はその思いついた店に向かった。
 100円均一、その店にはそう書いてあった。あるコンビニの系列店であるここは、100円均一で生鮮品を売っている店である。この店が底値になることはありえないので無視していたし、コンビニでもないので意識から外れていた。
 果たして、そこにしめじは…。
 あった!100円分の小さなパックに包まれたしめじがあった!
 やはり、プロである私に敗北などない。今日も私は勝利したのだ。
 私は満足しながら家路についた。
作者にコメント

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