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お題:昼間のパラダイス 制限時間:15分 読者:309 人 文字数:557字

昼の光から逃れるために
 天国の片隅には秘密のプラネタリウムがある。

 小ぶりなテントの中に設えられた座席の数は六つ、上映回ごとにいつもあっという間に満席になる。オープンするのは太陽が出ている間だけだ。夜明けと共にテントの入り口は開き、日没と共に閉じる。空に星が灯りはじめる頃には、テントの姿は跡形もなく消えてしまう。

 天井に投影されるのは、私たちには見られない星空である。
 天国の季節は、地球のそれとは少し勝手が違うのだが――冬に夏の星座を、夏に冬の星座を映すのと同じように、テントには遠い星空が現れる。

 わたしたちは、黙ってその星空を見つめる。言葉を交わす者はいない。そもそも、誰かと連れ添って来る者など、いない。誰もがひとりきりでやってくる。上映の間、隣に座るのは、必ず赤の他人だ。それでも何回か訪れている内に、同じ常連の顔見知りはできる。それでも、会話はしない。挨拶もしない。目があったときの、反射的な会釈が精々といったところ。
 テントの主も、何も喋らない。わたしたちから入場料を集め、プラネタリウムのスイッチを入れたあとは、上映が終わるまでずっと黙っている。解説の音声も、もちろんない。必要がない。わたしたちは、永遠に見ることが叶わないこれらの星座について熟知しているから。


 それは地獄から見る星空なのだ。
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