お題:運命の失踪 制限時間:15分 読者:210 人 文字数:401字
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輪廻
時計の針をぐるぐると動かす。そうすると時間は逆戻りするはずもなく僕はただじっとその時計をみつめいた。こんなこと生まれてくる前から何度もあった気がする、例えば崖の下に落下したとき、海で遭難したとき、人を殺してしまったときなど。ああ、そうだ僕は幾度となく繰り返し覚えていた、君のことも。目の前の死体に手を合わせて線香を炊いていると、親族らしき人々は言った。「どちら様ですか?」「生前、結婚の約束をした女性なのです」
僕は、「僕の生前」という言葉を省略した。生まれ変わる前ともいうべきか。
彼女の婚約者らしき男性がワナワナ震えて引っ込んだ涙を頬から拭ってそこに緊張感が走る、彼女とは今世とも結ばれなかった、また来世があるに違いない。僕は静まり返った葬式をあとにして颯爽とそこを立ち去った、さあ、あと何回巡り会えれば彼女と結ばれるだろうか。僕はかずを数えながらガードレールを乗り越えた。さあ、次は幸せになろう。
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