ユーザーアイコン
お題:熱い味 制限時間:15分 読者:306 人 文字数:528字

(永遠に)
 ある地獄に落とされた作家に命じられた刑罰は、火の味を描写せよというものだった。
「火の味ですって?」
「そのとおり」
 作家は呆れ混じりに微笑んだ。机前の椅子に縛りつけられていなければ、厳しく顔をしかめた鬼の肩をとんとんと叩き、もう少し面白い冗談を言うようにと諭すこともできるのだが。
「存在しないものは書けませんよ」
「心にもないことを言うのは感心しない」
「本心のつもりなんですがね」
 鉛筆をくるくると回しつつ呟く。作家は、机の上に用意された己が罰を眺めた。
 一枚の白紙。一本の黒い鉛筆。一本の匙。一枚の、燃える皿。
 試しに、白紙に鉛筆を滑らせてみると、その黒い線は書かれた傍から溶けるように消えてしまうのだった。
「描写の言葉でなければ存在できないようになっている」
「ご説明どうも」
 なるほど。始めるしかないようだ。

 作家は、左手に匙を、右手に鉛筆を持ち、燃える皿から火を一匙すくいあげ口に含んだ。舌と口腔が苦痛と共に焼け爛れた。仮に、燃える炎に味があったとしても、これでは何も感じられるはずがない。作家はしかし、歯を食いしばり、何度も何度も、火を口に運んだ。そして右手を動かし続けた。書く傍から灰のように消えてゆく言葉を振り返るこt
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
銀世界と湯気 ※未完
作者:匿名さん お題:熱い味 制限時間:15分 読者:233 人 文字数:789字
顔に雪が叩き付けられて痛い。分厚い生地のコートの襟をつかみその痛みから逃れようとするも、根本的に長さが足りない。あたりを見渡してみるも、一面雪景色。真っ白な平面 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ものらる お題:熱い味 制限時間:15分 読者:228 人 文字数:636字
「あなたが本当に私のことを愛しているのならカンタンでしょう。あの方との約束を破ることなんて」美しい横顔を月のように傾けて、彼女は窓際で気持ちよさそうに夜空を仰い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:汚れた狐 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:956字
「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」 これがやりたい、とある狐は思った。 別に銃で撃たれて死にたいわけではなく、人間にショックを与えてやろうと、こう考 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:汚れた狐 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:481字
獣の目を見たのは、その日が初めてだった。佐藤は荒ぶれた竹藪の奥で陽の光を避け、息を潜めている。昨日上級者向けの山を登っていると、正規ルートから外れ、遭難してしま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こののん@テストによるショック死するかも(´°ω°) お題:ナウい作品 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:55字
私は今、頭を乾かしている。そして今、ドライヤーを切る。服を着て、今、テレビを見始める。面白い。今から寝るなう。 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:楽観的な音楽 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:1085字
気分を変えるために場所を変えるのは実のところめんどくさい。その場で気分爽快になるのが一番であり、移動に時間をかけるのは凄くアホらしい。頭だって有効期限がある。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:すな お題:嘘のアパート 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:1209字
「部屋を借りたんだ」 ボヨウはそう言って笑った。「部屋を? 宿舎があるのに?」「うん、愛の巣。おれたちの」「……ああ、なんか言葉のチョイスが古いです、ボヨウ。気 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かたぎり お題:早すぎた夕日 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:81字
轟は散歩をしていた。すると、なにやら虫が現れた。「なんだ、新種の虫か。」疑問がはれて守はすっきりした。そして再び散歩にもどった。夏の夕方はやはり明るい。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雷藤和太郎@バーチャルピエロ お題:疲れた宗教 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:1165字
「音楽を聞く?」「そう、音楽を聞く」 ハンバーガーショップの不安定な丸椅子に座って、キミコはにっこりと笑った。「ただ音楽を聞くだけの宗教なんて、聞いたこと無いよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かたぎり お題:疲れた宗教 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:97字
自宅で守は掃除していた。すると、なにやらチャイムがなった。「なんだ、あの宗教のおばさんか。」疑問がはれて守はすっきりした。そして再び掃除にもどった。台所の小バエ 〈続きを読む〉

の即興 小説


ユーザーアイコン
作者: お題:刹那のコウモリ 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:606字
一秒間の変身能力を手に入れた。 たった一秒。一日の内、たった一秒だけ、私はコウモリに変身できる。 数十冊の魔道書を読破し、怪しげな薬にいくつも手を出し、それこ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:女の海辺 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:798字
人魚の子を身篭った。 孤独な身の上、それも自営業だったので、誰にも説明を求められはしなかったが、切実な問題として、産むのに良い場所がなかった。人間の病院には掛 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:暗い心 制限時間:15分 読者:43 人 文字数:758字
火傷だらけの鬼がひとり、森を歩いてゆく。 その晩は新月で、鬼にとって幸いなことに、今にも雨を降らしそうな厚い雲が夜空をみっしりと埋めていた。風も重く、優しく、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:孤独な黒板 制限時間:15分 読者:53 人 文字数:690字
その日、登校すると、黒板には暴言が描き殴ってあった。私の名前と一緒に。およそ板書にはそぐわない、たった数文字で黒板の端から端までを埋めてしまうほどの、大きくて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:3月の動揺 制限時間:15分 読者:55 人 文字数:743字
最近ちょっと困っていることがあって、と、二百年ぶりに再会した旧友は挨拶もそこそこに口火を切った。 最近と言ったって、私たちの尺度のことだ、どうせ三百年以内の出 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:セクシーな善人 制限時間:15分 読者:49 人 文字数:377字
新宿何とか丁目の細い裏路地、丑三つ時の間だけ、とある地縛霊が人生相談所をやっているらしい。しかも、実に盛況であるらしい。先週の土曜は十人以上の大人たちが寒空の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:当たり前の木 制限時間:15分 読者:49 人 文字数:456字
裏山に佇む一本の白樺が、私の神様だった。 いつから信仰心を抱くようになったのかは覚えていない。物心ついた頃にはもう、裏山で遊びまわった帰り道に、白樺に手を合わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:戦争と絶望 制限時間:15分 読者:60 人 文字数:861字
どうも私は気が狂っているらしく、ふたつの時間を交互に生きている。 現在と100年後の世界、と言うべきか、100年前と現在の世界、と呼ぶべきか、いまいち判断が付 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:静かな傘 制限時間:15分 読者:54 人 文字数:782字
不思議ではあるけれど、何の役にも立たない代物、というのが世の中にはそこそこ存在する。 祖父から譲り受けたこの傘も、そんな代物のひとつだった。祖父もまた知り合い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:傷だらけの笑い声 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:855字
祖父はレコードが好きだった。 若い頃は歌うことも好きで、ほんのひととき、歌手として活躍したこともあったらしい。祖父の家には、その頃の古いレコードが何十枚も眠っ 〈続きを読む〉