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(永遠に)
 ある地獄に落とされた作家に命じられた刑罰は、火の味を描写せよというものだった。
「火の味ですって?」
「そのとおり」
 作家は呆れ混じりに微笑んだ。机前の椅子に縛りつけられていなければ、厳しく顔をしかめた鬼の肩をとんとんと叩き、もう少し面白い冗談を言うようにと諭すこともできるのだが。
「存在しないものは書けませんよ」
「心にもないことを言うのは感心しない」
「本心のつもりなんですがね」
 鉛筆をくるくると回しつつ呟く。作家は、机の上に用意された己が罰を眺めた。
 一枚の白紙。一本の黒い鉛筆。一本の匙。一枚の、燃える皿。
 試しに、白紙に鉛筆を滑らせてみると、その黒い線は書かれた傍から溶けるように消えてしまうのだった。
「描写の言葉でなければ存在できないようになっている」
「ご説明どうも」
 なるほど。始めるしかないようだ。

 作家は、左手に匙を、右手に鉛筆を持ち、燃える皿から火を一匙すくいあげ口に含んだ。舌と口腔が苦痛と共に焼け爛れた。仮に、燃える炎に味があったとしても、これでは何も感じられるはずがない。作家はしかし、歯を食いしばり、何度も何度も、火を口に運んだ。そして右手を動かし続けた。書く傍から灰のように消えてゆく言葉を振り返るこt
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