ユーザーアイコン
お題:熱い味 制限時間:15分 読者:287 人 文字数:528字

(永遠に)
 ある地獄に落とされた作家に命じられた刑罰は、火の味を描写せよというものだった。
「火の味ですって?」
「そのとおり」
 作家は呆れ混じりに微笑んだ。机前の椅子に縛りつけられていなければ、厳しく顔をしかめた鬼の肩をとんとんと叩き、もう少し面白い冗談を言うようにと諭すこともできるのだが。
「存在しないものは書けませんよ」
「心にもないことを言うのは感心しない」
「本心のつもりなんですがね」
 鉛筆をくるくると回しつつ呟く。作家は、机の上に用意された己が罰を眺めた。
 一枚の白紙。一本の黒い鉛筆。一本の匙。一枚の、燃える皿。
 試しに、白紙に鉛筆を滑らせてみると、その黒い線は書かれた傍から溶けるように消えてしまうのだった。
「描写の言葉でなければ存在できないようになっている」
「ご説明どうも」
 なるほど。始めるしかないようだ。

 作家は、左手に匙を、右手に鉛筆を持ち、燃える皿から火を一匙すくいあげ口に含んだ。舌と口腔が苦痛と共に焼け爛れた。仮に、燃える炎に味があったとしても、これでは何も感じられるはずがない。作家はしかし、歯を食いしばり、何度も何度も、火を口に運んだ。そして右手を動かし続けた。書く傍から灰のように消えてゆく言葉を振り返るこt
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
銀世界と湯気 ※未完
作者:匿名さん お題:熱い味 制限時間:15分 読者:228 人 文字数:789字
顔に雪が叩き付けられて痛い。分厚い生地のコートの襟をつかみその痛みから逃れようとするも、根本的に長さが足りない。あたりを見渡してみるも、一面雪景色。真っ白な平面 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ものらる お題:熱い味 制限時間:15分 読者:223 人 文字数:636字
「あなたが本当に私のことを愛しているのならカンタンでしょう。あの方との約束を破ることなんて」美しい横顔を月のように傾けて、彼女は窓際で気持ちよさそうに夜空を仰い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:欄橋/イトカ@企画消化中 お題:アルパカの夏休み 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:569字
汚れなき白き生物は、ある一人の思惑により世界に売られたその身を狙う強欲な"モノ"から必死に逃げまとう新緑が芽生えていた大地は、血潮が染み付き、腐敗した土地へと姿 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:regalec お題:アルパカの夏休み 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:867字
過去、現在、未来。時間は連続的に変化していき、すべての物質は、少なくとも非相対論的な解釈のもとでは同じ時間の関数の存在としてここにある。我々とて例外でない。足元 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:くちなし お題:汚れた船 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:484字
たぬきは泥舟に乗って、沈んでしまった。昔話であったっけ。うろ覚えだけれど、結構残酷だった気がする。そうそう、カチカチ山だ。あれ、いまじゃあソフトに話を変えられて 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:beta0874 お題:それいけお茶 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:922字
一面の茶畑が広がるのどかな田舎にも、トラブルはつきものだ。ひとりの男の子の泣き声が抜けるような青空に響いている。しかし、その涙の理由を訪ねてくれる大人はすぐ周囲 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@バブみ道団長 お題:見憶えのあるゴリラ 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1241字
駅前で人が吹き飛ぶのが見えた。「あぁ……」 いつかはやるんじゃないかと思って人物がその中心で暴れてた。 うん、彼女だ。「どうしてこんなことに?」「あ、あぁ、な 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:ロシア式の月 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:438字
「СПАСИБО」スパーシバと、相手にお礼をいうと相手の方も話せて嬉しかったとお礼を言って会釈をして去っていった。正直、疲れた。仕事関連で海外の人と話す事はよく 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:むにゃむにゃ@即興 お題:最後の百合 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:472字
また一本百合が枯れた。花瓶に残されたのは一本だけになってしまった。匂いを嗅ごうと花瓶を近づけようとするも、手がうまく動かない。仕方なく体を寄せるだけにした。窓か 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:強い年賀状 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:517字
破けた紙が指に張り付いた。強い雨が体を打ちつける。「どうしてこんなことになったんだろうな」後ろから声がした。父親だ。母親に怒鳴りつける威勢の良さはもうない。事態 〈続きを読む〉

の即興 小説


ユーザーアイコン
作者: お題:戦争と絶望 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:861字
どうも私は気が狂っているらしく、ふたつの時間を交互に生きている。 現在と100年後の世界、と言うべきか、100年前と現在の世界、と呼ぶべきか、いまいち判断が付 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:静かな傘 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:782字
不思議ではあるけれど、何の役にも立たない代物、というのが世の中にはそこそこ存在する。 祖父から譲り受けたこの傘も、そんな代物のひとつだった。祖父もまた知り合い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:傷だらけの笑い声 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:855字
祖父はレコードが好きだった。 若い頃は歌うことも好きで、ほんのひととき、歌手として活躍したこともあったらしい。祖父の家には、その頃の古いレコードが何十枚も眠っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:有名な消費者金融 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:800字
名前を粗末に扱ってはいけない、というのは、魔法使いでなくても知っているこの世界の常識である。 名は当人を表す最も短い呪いであり、その名を貶めたり変質させてしま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:人妻の脱毛 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:654字
もともと、自分の容姿に対して卑屈気味なところがある人だ、とは解っていた。 私から見れば輝かしいほどの服装センスも、ドレッサーを埋め尽くす化粧道具も、まめまめし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:ロシア式の帰り道 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:612字
階段があなたを憎んでいる。気をつけて。 もともと迷信深い方では無い。 占いなど、ほんの気まぐれ、暇つぶし、好奇心で頼んだだけ。だから、怪しげな占い師が告げたそ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:どこかの屍 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:590字
「死んだ後、誰にも見つけてもらえない人、昔からたくさん居ましてね」 死後三日目、および地縛霊になってから三日目、自分の死体がそろそろ悪臭を放ちはじめた頃、施錠さ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:気持ちいいサラリーマン 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:341字
不快でないよう、けれど退屈でもないように、注意深く調律された真夏の太陽模倣光。海からの風がさわさわと、立ち並ぶ椰子の木の葉を揺らし、輪郭の強い光と影がサンダル 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:昨日食べた錬金術 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:597字
だって、人の体内は土壌と似ていると思わないか。 それは「なぜ研究室の共同資産であるホムンクルスを食べてしまったのか」という詰問に対する答えとしてはいささか常軌 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:ぐちゃぐちゃの火事 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:773字
タコ足配線って、あるだろ。 二時間以上に及ぶクレーム対応を追え、苦味を帯びた沈黙と疲労に押し包まれたレジカウンターの内側で、先輩は唐突にそう言った。 レジに立 〈続きを読む〉