お題:阿修羅ロボット 制限時間:2時間 読者:457 人 文字数:3249字

意識の低いひくーい<鉄道擬人化1次創作
「年末とかこう、忙しい感じにしてると阿修羅みたいに手がもう2対くらいないかなー、みたいなことを考えるんですけどね」
「残りの4本の腕に指示するの大変じゃないか?」
 とりあえず横で座ってると手伝わないと手持ち無沙汰であるし、手を出すとあとが大変だー、とちくちく嫌味言われるし、なのでだいたいそういう時は茶を入れたりしてるんだけどね。
 世の旦那さんも多分こんな感じで過ごしてるのかな、みたいなことは考える。
 どうして欲しいときっちり言ってくれればやりやすいんだけども、いちいち司令出すの面倒なんですよね、とか言われてしまうともうなんだ、誰が悪いわけでもないんだろうけども。
「でも阿修羅さんたちって頭も3つあるじゃないですか」
「井の頭は頭があと2つあっても他の頭と喧嘩するような気がする、誰が指揮権取るかで」
「……全く否めませんね?!」
「それに作業的には正面向いてる頭以外が不便じゃん? どうせ頭が3つあって腕がそれぞれ2本ずつあるんならそれぞれに足があって自由に動けるほうが作業効率いいような気もする」
 あ、ホントだー、と俺が入れたココア飲みながら、井の頭が一旦同意して。
「3人いるのと同じじゃないですか!」
「そうそう、そういう話だな」
 だから、あんまり変わんないかな、みたいな、頭数足りなくて作業が進まないとかそういうのが一番の悪だなって思うけど。全体を1人で見るほうが効率的なことってままあるから、1人でなんともならない場合に3人じゃなくて5人とか、そういうこともないでもないのだ。
 そもそもそういう場合に5人も事情に通じてる人集めるのも大変だし。
 そうすると人を使って単純作業のみ任される存在というのもどうしても出てくるし、そうなるとその管理のために一人の半分くらいのリソースは裂かれるというか。1.5人前みたいなことになるもののそれでも非効率的に思えても仕事ってのはそういうものである。

「あれだなー、井の頭って自分が有能だからその辺の割り切りは下手かもな」
 井の頭が太るからって間食には野菜スティックとかも用意してあるんですけども、ディップ付けて食べたらば同じじゃないのかな、とか、いっそこれ揚げれば美味しいのに、とか考えているものの、口に出す分にはそこまででもないけど実戦したら殴られるよねー、みたいな。
「むーむー、だから京王が頭ってことなんでしょうか」
「んー、そうだね、相模原だったかがネットで拾って来てたんだったと思うけど『有能で意識を低い人間はボスに、有能で意識が低い人間は補佐に、無能で意識が低い人間には雑務を、無能で意識が高い人間は切り捨てろ』みたいなやつ」
「……意識が低いほうが完全に評価が高い、のが釈然としませんが、わかりますね」
「まああれだよ、自分の能力が足りないからとりあえず能力付けるために下積みしよっかなー、というタイプは別に現時点でそこまで能力高くなくても「無能」ではないんじゃないか? 作業手順の速さみたいな、見てわかるもんだけでもないだろ、能力って。まあ、単純作業がいまいちでもいいけどそこで今のままの自分が十分に通用するみたいに考えてる系の無能は申し訳ないながらマジでいらない」
「……こう言ったらなんですが京王ってすごくボスですね」
 そうかなー、普通のことな気もするけど。
 セロリって苦いよね苦いよね、と思いながらしゃくしゃくしてたら取られた。
 なんで井の頭ってそういう味に癖があるもの地味に好きなんだろうな、別にいいけども。
「というより、その例えで口にされてる意識の高さって一体なんでしょうね?」
「なんかある意味で、自分を尊べみたいな妙な方向な気もするな」
「補佐は自分を尊べでもいいんでしょうか」
「だって有能だから、現時点で作業が遅い人間の指揮権分捕るのは正しいんじゃないか? 尊べって別に踏ん反り返ってちやほやされることじゃないだろ、それだとなんか別のジャンルだと思う、あくまで仕事がベースの話なら」
「そうですね、地位が高いか低いかって話ではないですものね」
 なんかこの話、ひょっとしたら今の環境みたいなものを反映してるんでしょうか、と井の頭に言われたんだけど、ああうんまああの、そういうのもないでもないっていうかぁ。

「今のっていうか、私が全部事務作業を抱え込んで人に渡さない状況ですね?」
「まあ話始めた時点では意識してなかったけど、そうかもしんない」
「だったら最初からそう言って下さいよ」
 ぷー、と膨れちゃったんだけど、うんでも、実際に作業してくれてる人には言いにくい部分もないでもないというか。阿修羅になりたいとまで言い出したら、それはなんというか、ちょっと無理してるのかもしれないと思っただけなんだけどもな。
「高尾はともかく、相模原と京王新線呼んでおくから、阿修羅の2号と3号にするといいよ」
 俺もたまに言われるけど、高尾もちょっと新しいことは苦手っていうか頭古いっていうかこうもごもごもご。指示聞いちゃったほうが早いところはあったりするかもね。
「相模原がーっと独特に区分けしちゃうから嫌なんですよ。下手すると私がやったところまで無駄にされかねないんですもん」
 ありゃまあ。
 なるほど、高尾と井の頭の台所権争いみたいなものがあるのか。うーん。
 そういやあっちもあっちで、全体の指示と無関係に動くからなぁ、まあウチ全体的にそんなところあるけど、どっちかだけが正しいわけでもないと思うんだけども、人数入れて作業を回すとなると相模原のほうが正しい面はあって、ただし総括する時は誰か一人が、ていう井の頭のやり方もそんなに間違ってはいないというか。

「んじゃ、新線と高尾を呼ぶか」
 あんまり年末に近くなると高尾とかも忙しくなるけど、まあ早い段階の今なら大丈夫だろ、高尾までなら相模原でフォロー出来るはずだし。
「いいですけど……それじゃ作業効率が」
「単純に渡せるところだけ渡していけばいいよ、少しくらいしかマシにならんだろうけど、あとは新線が相模原にパソコンかなんかでがーっと一括でやればいいって思った分だけまとめておいて投げればいい、あいつならその辺の判断くらい出来んだろ、頭柔らかいし」
「どうせ私は頭堅いですよ」
「俺や高尾よりはマシだし、相模原はちょっとあれだ、なんでもかんでも機械的にやりすぎるから別にいいんだよ、というか、能力はばらばらのほうがいいんじゃないか。ある程度は一人が欠けた穴を塞ぐって意味で、被っててもいいと思うけど、本質は違うほうが全体効率だろ」
 と、ぺぽぱ、と電話をいじってたらば、井の頭にやっぱり京王ってボスですよねー、みたいなことを頬杖付きながら言われたんだけど、要するにあれだな「意識低い」ってやつだな、とほんのり考えたものの、しかしやっぱり意識が高いとか低いとかって意味わかりにくい気がしないでもない。
「ですねー、なんだろ、丸投げするってある程度度量が必要な気もするんですけどね」
「ああ、自分が楽をしたいという信念が必要だな」
 なんでそうなるんですか、とぺち、と叩かれたものの、ああそっか、と呟く。
「なるほど、普段から人を見て自分が楽をするための準備をする、という」

 ――うむ、それはなかなか意識が低そうではある。

「ボス、ケーキが食べたいです、あとコーヒーも飲む」
「今ココア飲んでたばっかりだろう……」
 太るよ、と言おうとして飲み込む。うんあれだ、太ってもいいんだ太っても。
 いつも太る太ると煩いものでついうっかり感染していたものの、あれだ、別にいいんだ。
「京王と違って、私は年末に向けて蓄積しないと冬が越えられないんですよ」
 井の頭ってどうしてたまに不可解なことを言うんだろう。

>>>
鉄道擬人化1次創作、京王さんは筋肉型、井の頭さんは脂肪型(設定)。
http://atsites.jp/rbyawa/
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