お題:鈍い償い 制限時間:15分 読者:233 人 文字数:679字

償いはあの男にこそ
いったい何ができるのだろう、非力なこの自分に。
何が求められているのだろう、世間とやらに。

いったい、この、自分は。



血だらけの手を見つめながら、俺は呆然と立ち尽くす。気が付けば俺は牢屋に叩き込まれていて、先ほどの記憶はあいまいだ。外では殺人犯に死の償いを!と集団の大きな叫び声が響きわたっており、何が何だかわからない。

看守の懐にあるラジオからは、「猟奇殺人犯」だと甲高い声で俺の名前をアナウンサーが連呼している状態だ。
俺はいったい何をしたっていうんだ、俺が。

「やあ、ひさしぶり、元気かな」

かつこつと靴音を響かせ、学生時代の友人であるAが格子の向こうからオレに声をかける。

「おいA、これはいったいなんなんだ。俺はいったい何をしたっていうんだ、気が付いたら牢屋の中に俺がいて、何が何だかわからないんだ」




「……君は、本当に鈍いな」

ふ、と噴きだして、彼はやわらかく笑う。


「君は、償いをしなくちゃ。償いってなんだかわかるかい。――『心を入れ替えて、やり直せ』ってことだよ」



さあ、心臓部のパネルを開いて。そういい子だ。怖くなんかないさ、すぐ終わる。
いったん電源を切って、再起動するだけだ。
君の感覚で言ったら、すこし眠りに入って、すぐに目が覚めるような、簡単なもんさ。

そういってAは俺のボディを工具で開けて、俺の制御スイッチを切った。
俺の視界がぼやけていく。


「ロボットに、都合の悪いやつを始末させる……と。なかなか、実現までは時間がかかりそうだなあ。」

遠くでAの声がした。俺は意識を手放した。

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