お題:朝の絶望 必須要素:ヨーヨー 制限時間:30分 読者:624 人 文字数:1584字

年の差なんて!
「もう、朝から絶望的ぃ」
 あたしは遙香。この春高校卒業したばかりの短大1年生。そして隣でボヤいているのが、あたしの親友で幼なじみの蒼空。
「どうしたの? 蒼空」
「カレシがぁ、スマホなくしたっていうんだよねぇ」
 蒼空のカレシというのが、当年とって45歳のおっさん。27歳差カップル。どこで出会ったのか知らないけれど、夏休みが終わった後には付き合い始めていた。
「じゃあ、どうやって連絡してきたの?」
「ああ、自宅電話でかけて来たみたい。朝こっぱやくにさー。まだあたし寝てるってのにー」
「まだ連絡くれただけいいんじゃないの?」
「あいつ、じじぃだからさー、朝早いのよねぇ」
 まかり間違ってもカレシをじじぃと呼ぶな。誰が選んだんだと思ってるのか。
「で、何が絶望的なのよ?」
「新しいスマホ買うから、金貸してっていう電話だったのさー」
 短大生に無心する45歳サラリーマンって……。
「仕方ないから、貸したけどさー」
 貸したのかい。
「先月の印税入ったの知ってるんだ、あいつー」
 そう、蒼空は今や人気作家なのだ。いわゆるBL小説というらしい。高校生の頃から書き始めた小説がネットで評判になり、書籍にもなったため、この春あたりから財布が豊かになった。だが、元々蒼空の家は裕福な家庭で、お小遣いにも困らない人で、いつも高校のクラスメートでカラオケに行く時は決まって蒼空のおごりだった。それにつられて友達面するヤツも多かった。家庭も個人も貧乏なあたしとは全く違う。世の中不公平だ。
「その人って、働いてないの?」
 まさか45歳でニートはないだろう。
「もちろん働いてるよ。リーマン。けど、給料だけだと、家賃と食費でいっぱいいっぱいらしいよ」
 女子大生に貢がせる45歳サラリーマンって……。
「あ。メール来た。カレシからだー」
 蒼空は脳天気にスマホを取り出して、メールに目を通す。
「スマホゲットーだぜー!」
 蒼空はメールの文を読み上げた。カレシも脳天気だった。
「にしてもさ、45歳相手だと、話も合わないんじゃないの?」
「んー。そうでもないよー。この前も、あたしにヨーヨー見せてくれたしー」
 ヨーヨー? それ、いつの時代の遺物だよ。
「上手なんだよー。東京タワー!とかやんの」
 スカイツリーのご時世に東京タワーかよ。
「あとね-、曲のダウンロードとかしてくれんの。かっけー曲とか入れてくれるんよ」
 蒼空は、さっきまで自分の耳に入れいたイヤホンをあたしに回した。爆音と共に、ギターのガキガキ音が聞こえる。蒼空が見せてくれた画面に文字が映る。なにこれ、『Deep Purple』って、曲名? バンド名?
「かっけーっしょ?」
「う、うん……」
 あたしは否定したかったが、満面の笑顔の蒼空にはそれはできなかった。
「そのさ、今のカレシと結婚……とか考えてるの?」
「うん!」
 即答だった。マジかよ。あたしの驚きとは対照的に、蒼空は、ガキガキのギター音をBGMを聞きながらノリノリだった。電車内の乗客の注目を浴びる。
「えー、マジー?」
 とか思ったら、蒼空が急に天井向けて指さした。
「ん? 何?」
 蒼空が指さした先は、電車の広告用テレビ。次の駅とか表示するアレである。時折、CMが流れたり、ニュースが流れる、ドアの上に取り付けられた液晶だ。
「あのニュース、信じられないよね? へぇ、あんなことあるんだぁ?」
 と、蒼空が言った時には、すでにニュースは流れてしまっていた。なんのニュースだったんだろう。

 あたし達が降りる駅までまだ5駅あった。さっき流れたニュースが、CMの後に流れる。
「蒼空、あれ?」
「そうそう。信じられないよねー」
 流れたニュースは。ある芸能人のニュースだった。77歳の芸能人が50歳の一般女性と結婚だって。

 おい。
作者にコメント

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