お題:複雑な液体 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:468 人 文字数:921字

魔法の調味料
「この液体を最後に混ぜますと、ほらこの通り」
 高瀬シェフはそう言って、カップに入った少量の液体を最後に鍋に流し込んだ。すると、香ばしい香りが部屋中に立ちこめた。生徒である奥様達は一斉に歓声をあげた。
「そして、ゴマを少々かけて完成です」
 鍋から器に盛りつけた後、ぱらぱらとゴマを振りかける。シェフは盛りつけたお皿を手持ちのふきんで丁寧に拭き取り、キッチンの周りに群がっている主婦達の前に差し出した。
 生徒達はそれぞれに、デジカメやスマホでその盛りつけを写真に納めた。それから、シェフが細かくとりわけして、皆に配分する。味見の開始である。
「おいしい!」
「すごい!」
「お口がとろけそう!」
 とにかく大絶賛である。

「先生、さきほど、最後にかけた液体はなんですか?」
 味見を終えた後、一人の女性がシェフにそう尋ねた。
「それは、秘密です。様々な香辛料が混ぜられたとても複雑な、わたしのオリジナル調味料なんです。けれど、これがなくても、十分おいしいですよ」
「でも、それかけたら、香りは全然変わりましたけど?」
「さすが皆さん、違いがお分かりですね。わかりました。では、今日は特別ですが、この調味料を特別に、特別に、販売して差し上げましょう」
「本当ですか!?」
「ほしいです!」
 主婦たちはみな一同に声を上げた。
「はい、では、こちらの担当者が高瀬オリジナルの「魔法の調味料」を販売させていただきます。どうぞご注文ください」
 高瀬の紹介で現れた小柄な男性が手元に数十個の小瓶を用意していた。
「特別販売でございますので、お一人様、一個とさせていただきます。大丈夫でございます。皆様の人数分をご用意しておりますので、ご安心下さい。では、こちらでお会計を……。1個1,000円となります」
「なんてお安いの?くださいな」
 調味料はすぐに完売した。つまり人数分全員が1個づつ購入したのだ。そして、主婦たちは満足して帰った。

「ふふふ。皆、また来ますよね。あの調味料を食べたら、またここに来たくなりますから。さて、また新しい分を仕込みしましょうね」
 シェフはそう言って、さっきの小柄な男とキッチン横の地下通路に潜り込んでいった。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:複雑な液体 制限時間:15分 読者:121 人 文字数:618字
あるアパートで一室の住人が眠るときにのどが渇いたことに気付きました。水を入れて飲み干したコップをシンクに戻すのが面倒だったので、コップを枕もとに置いておいて寝ま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:人妻の靴 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:981字
うどんを茹てざるにあけ、水道水でぬめりを取り水を切って皿に盛り付ける。お椀を準備してそこにうどんつゆを注ぎ、氷水で二倍に薄め、あとはノリとかネギとかわさびとかそ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:息子 お題:打算的な王 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:592字
緊急事態である。空想研究部が生徒会長をを超える存在である生徒会王を生み出した。生徒会王に支配された生徒会は、かつてないほどの混沌を極めることになる。何を言って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:Syromid お題:つまらない草 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:58 人 文字数:453字
「開けゴマ」女がなんか言っている。コンビニに行った帰りの道にあるよその家の生け垣に向かって。こいつはゆるふわ天然ちゃんなんだよな。俺の会社の受付嬢だ。ルックスは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:Ammo_June お題:おいでよ手 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:98 人 文字数:877字
寝ころびながら手を空に透かす。太陽の光は、ちょっとだけさえぎられるけど、指の間から零れ落ちて私の顔に落ちてくる。遠くから声が聞こえる。ステップを刻む音、ランニ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者: お題:君とエデン 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:134 人 文字数:858字
「えっでん~えっでん~、今日のご飯はえ~で~ん!」「おでんでしょ」 こたつ上にある鍋を見て彼女はウキウキとして歌う。しかしおでんである、エデンではない。どういう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ふす お題:ひねくれた恋 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:113 人 文字数:280字
白米を炊きまして、アツアツのまっしろご飯が出来たなら、優しく両手で掬い上げ、ポイントは熱くても、溢さないこと、戻さない、ぎゅっぎゅと力を込めたなら、三角おにぎり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:. お題:地獄の理由 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:132 人 文字数:466字
その小路では、後ろを振り向いたらいけないと言われているよ。なんでかっていうのはわからないんだけどね。なんでも、その小路にはあの日が棲んでいて、こちらが気にする素 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まろやかに傾く人 お題:贖罪の列車 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:140 人 文字数:445字
人類が最後に耳にする音といえば、核兵器・生物兵器・化学兵器の警告音が有名だ。 ボタン一つで世界を壊すことができる……冗談ではないが、現状はそうなっている。 対 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:彼女の「えいっ!」 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:200 人 文字数:443字
ゴマの花はチューリップハットのような形をしている。薄紫色と透き通るように繊細な白色は、おとなしそうでありながら身ごもる房はぷくりと膨れている。ピーマンの果実の 〈続きを読む〉

もふもふ@神楼学園15企画中の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:朝の絶望 必須要素:ヨーヨー 制限時間:30分 読者:617 人 文字数:1584字
「もう、朝から絶望的ぃ」 あたしは遙香。この春高校卒業したばかりの短大1年生。そして隣でボヤいているのが、あたしの親友で幼なじみの蒼空。「どうしたの? 蒼空」「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:贖罪の火 必須要素:えへへ 制限時間:30分 読者:735 人 文字数:1617字
「えへへ」 と、私は誤魔化した。彼からの贈り物、それは、ダイヤの指輪だった。ちょうど私の薬指に合わせたサイズ。一体いつの間に計ったのだろうか。 もちろん、嬉しく 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:調和した演技 制限時間:1時間 読者:588 人 文字数:2957字
人は誰しも仮面を被っている。あたしもご多分に漏れず、いくつもの仮面を持っている。両親に対して『いい子』でいる仮面。学校の友達に対して『いい友達』でいる仮面。先 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:苦し紛れの自動車 必須要素:「ひょえー」 制限時間:30分 読者:354 人 文字数:2014字
「ひょえー」 それは、あたしが発した言葉。自分でも驚くくらいの大音量が車内に響いた。そして、あたしがこの悲鳴を発した原因がほんの1時間前の出来事だった。「車買っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:複雑な液体 必須要素:ゴマ 制限時間:15分 読者:468 人 文字数:921字
「この液体を最後に混ぜますと、ほらこの通り」 高瀬シェフはそう言って、カップに入った少量の液体を最後に鍋に流し込んだ。すると、香ばしい香りが部屋中に立ちこめた。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:戦艦の寒空 必須要素:スマホ 制限時間:30分 読者:370 人 文字数:1379字
「自衛隊の戦艦、見に行かないか?」 ある日突然父にそう訊かれた。「は?」「海上自衛隊の戦艦が小樽の港に入港するらしいんだ。友達のツテで中に入れることになったんだ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:あいつと雪 制限時間:1時間 読者:328 人 文字数:2973字
雪を見ると思い出すのは、あいつのこと。 滅多に雪の降らないこの地方では、雪が降ると一大イベントのように町が騒ぎ出す。子供達ははしゃいでべちゃべちゃの雪を必死に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:愛、それはお茶 制限時間:15分 読者:369 人 文字数:980字
「はい、お茶」 おばあさんは縁側に佇むおじいさんにお茶を差し出した。「ああ……ありがとうよ」 おじいさんは微笑みながら、湯飲みを受け取った。「もうそろそろ寒くな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:灰色の真実 必須要素:哲学的な思想 制限時間:1時間 読者:443 人 文字数:3153字 評価:4人
「夏の終わりは寂しいな」 と、彼は言った。「そう?」 あたしはアイスキャンディを舐めながら何の気になしにそう答えた。「夏の終わり時期にそう思ったことはない?」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もふもふ@神楼学園15企画中 お題:意外!それは夢 必須要素:ケチャップ 制限時間:1時間 読者:360 人 文字数:2289字
「今日の晩ご飯何がいい?」 夫の出がけにあたしは聞いた。「オムライス」 夫は一時も躊躇わずにそう言った。あたしは微笑みながら頷いて夫にスーツの上着を羽織った。「 〈続きを読む〉