お題:フニャフニャの人間 制限時間:15分 読者:409 人 文字数:1073字

腐葉土の都市伝説 ※未完
 

さて、これは私が爺さんから教えてもらったことなんだけどね。
村境から森に入って半日も歩くと大クヌギがあるだろう。この中に、行ったことがある奴はいるかい?
……なんだい、二人しかいないのかい。つまらんねえ、説教しがいがない。
おい、そこの二人、これからは絶対に大クヌギに近づくんじゃないよ。

なんでだって? それを話してやるために来たんじゃないか。
お前たちが怖がったら可哀そうだからって、大人たちは今まで黙ってたんだろうけど、私はそんなに優しい人間じゃないからね。

ま、そこの二人は知ってるだろうが、大クヌギの傍は風の通りが悪いうえに、葉っぱをざんざかざんざか降らせる木しか生えていないんだ。あの辺は、秋になると、落ち葉がすさまじいんだよ。全く何も見えないくらい、あらゆるものが埋もれてしまう。どれくらいかって? 大人一人がすっぽり埋もれてしまうくらいかねえ。
なんだい、……信じてないな? 
まあいい、お聴き。

私の爺さんが子供だった頃のことだ。
秋の盛り、この辺の山が真っ赤に染まるころ、赤トンボが群れを為して飛ぶ頃、村人が一人、いなくなっちまった。
そいつは森の奥が、特に大クヌギが好きでな、いつもその辺で遊んでる子供だった。薪や茸もちゃんと取ってくるから、村人たちは、そいつが森で遊んで収穫作業をちょっとばかりサボっても、許してやってた。良いやつだったんだよ、その子供はね。みんながその子を好きだった。
だけども、帰ってこなくなっちまった。
みんながその子を探したよ。爺さんも、秋の満月を頼りに、真夜中の森を歩き回って、声が枯れるまでその子を呼んだそうだ。だけど、見つからなかった。その子の持ち物も、痕跡も、なーんにもね。
おかしな話なんだ。森を人が通れば、そりゃあよーく分かる跡が残る。それは皆も分かってるだろう?

………ん。それでどうしたって。
ま、その子は帰って来なかったよ。やがて冬が来て、山は雪に閉ざされて、みんなその子のことを諦めた。
ところが、爺さんはその子を見つけたんだよ。
春になって、森の雪が解けて、土が雪解け水で黒々と輝く季節、爺さんはまた大クヌギまで出かけた。
降り積もった落ち葉が、雪をひとしきり吸い込んで、柔らかくほどけて、土に変わっていこうとしていた。一足ごとに、地面はきゅっきゅっと鳴って、爺さんの足はやわらかく沈んだ。

爺さんは大クヌギを見上げて、その子のことを考えていた。
そしたらな、足元の地面が喋ったそうだy







描写練習「会話文、伝聞」
 
・海と水死体
・土くれ

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