お題:遅い靴 制限時間:15分 読者:250 人 文字数:978字

馬鹿な呪いの使いかた ※未完
 


「これ、呪いの靴な。履いたら絶対に転ぶし、重いからスピードも出ない。靴紐もすぐに解ける。これを履いて出れば、絶対に、断言してやるけど、紀伊やんが一位を取ることはない」


 運動会の予行練習を終えた夕方だった。
 明日の本番を控え、皆はとっくに下校している。誰もいない教室で、机につっぷしているのは僕だけだった。帰りたくない、明日なんか来なければ良い、いっそ腹がくだるか熱が出れば、そうだ、今日は水を被って濡れたシャツで寝たらどうだろう。
 そんなどうしようもないことを考えていた僕の前に、救世主が現れたのだ。


「……それ本当か、幹ちゃん」

「ああ本当だ。絶対に間違いない。なんてったって、俺が今まで履いて使って、全レースで、びりをとった靴だぞ。絶対に呪われてる。なんだったら、今から明日までずっと使って、もっと呪いを掛けたって良いんだ」


 幹ちゃんは本気だった。眉間に皺をよせて、厳粛に、その古い運動靴を僕の前に置く。
 踵のところに、黒いサインペンで「山野幹彦」と書いてあった。


「……僕がこれ履いて走ったらさ、明日、幹ちゃんが履く靴ないだろ」

「良いんだそんなの、兄貴の靴でも何でも借りるよ。でも、今のお前にはこの靴がいるだろ。絶対に、絶対の絶対に、一位が取れない魔法の靴が」


 僕は机につっぷしたまま、目の前に鎮座する呪いの運動靴を眺めた。ちょっとだけ汗の匂いがした。良い奴だなあ、おまえ、と言いかけて、やめて、笑った。


「ありがとう。借りるよ」

「ああ。絶対に、一位、とるなよ。頑張って、本気で二位になれよ」

「もちろん。本気で走って、それで、二位をとるよ。本気でな」

「うん、本気じゃないと意味ないもんな。頑張れよ明日。大丈夫だ、その呪いの靴は史上最強だから。明日は、本当に、何も考えないで、走れよ」

「ありがとう」


 幹ちゃんは照れくさそうに笑って、それきり何も言わず、教室を出て行った。

 僕は窓の外を見た。夕暮れ。明日は快晴の運動会になるだろう。
 男女共同リレー。僕のライバル。明日、彼女は絶対に一位にならなければならない、彼女の








3分は作戦会議

「遅い靴」

・早い靴じゃなくて…履くと遅くなる靴? 以前の時間のと被るな

遅い靴

一位を取りたくない男の子の話。

作者にコメント

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