お題:危ない恋人 制限時間:15分 読者:287 人 文字数:709字

ロープの上でダンスを ※未完
 

 アブナイ男しか好きになれない。

 そう説明すると、知り合って間もない大体の人間は「ははん」という顔をする。そして言う、なるほどねぇ、振り回されるのが好きなんだね、そういうことでしょ? もしくは、日常の中のちょっとしたスリル。駄目だよおそういうの、恋愛に人生のスパイスを頼りっきりだと、後で退屈に追いつかれた時に大変だよお、とか、そういう類のアレだ。
 ちなみに、長い付き合いの友人にそう説明すると、全員が全員「ああ」と言って顔を覆う。そして言う、お前はもう、どうしようもないよね、うん、と。


 この性癖のはじまりに思いを巡らせると、私の脳裏にはサーカスの幕が開く。
 子供のころ、確かまだ、小学生。初めて連れられて行った、小さな巡回サーカスだった。演目だって少ししかない。ピエロと、玉乗りと、動物が何頭か、そして空中ブランコ。普通、空中ブランコって言ったら、綺麗な、妖精のようなお姉さんのステージと決まっているはずなのに、人手が足りなかったんだろう、そのサーカスでは、男の人がたった一人で、空をくるくる舞っていた。

 で、落っこちた。
 セーフティネットは張ってあった、もちろん。けれど、その二秒。
 その身体が落下し、ネットにぶつかって小さく弾むまでの永遠の二秒。


 あ、あの人、死んじゃった。


 私は心からそう信じ込んだ。
 そして、その時の強烈なショックが、脳裏に刻まれてしまったらしい。
 一瞬の静寂と恐怖、そしてその美しさについて、が。



 それからというもの、私の恋人は、いつ死んだっておかしくない奴ばかり。
 もう何人を見送ったのか、そろそろ分からなくなってしまった。



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