お題:危ない恋人 制限時間:15分 読者:310 人 文字数:709字

ロープの上でダンスを ※未完
 

 アブナイ男しか好きになれない。

 そう説明すると、知り合って間もない大体の人間は「ははん」という顔をする。そして言う、なるほどねぇ、振り回されるのが好きなんだね、そういうことでしょ? もしくは、日常の中のちょっとしたスリル。駄目だよおそういうの、恋愛に人生のスパイスを頼りっきりだと、後で退屈に追いつかれた時に大変だよお、とか、そういう類のアレだ。
 ちなみに、長い付き合いの友人にそう説明すると、全員が全員「ああ」と言って顔を覆う。そして言う、お前はもう、どうしようもないよね、うん、と。


 この性癖のはじまりに思いを巡らせると、私の脳裏にはサーカスの幕が開く。
 子供のころ、確かまだ、小学生。初めて連れられて行った、小さな巡回サーカスだった。演目だって少ししかない。ピエロと、玉乗りと、動物が何頭か、そして空中ブランコ。普通、空中ブランコって言ったら、綺麗な、妖精のようなお姉さんのステージと決まっているはずなのに、人手が足りなかったんだろう、そのサーカスでは、男の人がたった一人で、空をくるくる舞っていた。

 で、落っこちた。
 セーフティネットは張ってあった、もちろん。けれど、その二秒。
 その身体が落下し、ネットにぶつかって小さく弾むまでの永遠の二秒。


 あ、あの人、死んじゃった。


 私は心からそう信じ込んだ。
 そして、その時の強烈なショックが、脳裏に刻まれてしまったらしい。
 一瞬の静寂と恐怖、そしてその美しさについて、が。



 それからというもの、私の恋人は、いつ死んだっておかしくない奴ばかり。
 もう何人を見送ったのか、そろそろ分からなくなってしまった。



作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:まいねまいご お題:かたい運命 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:1195字
「将来なりたいものはあるか」暇そうにウェーブのかかった髪を指先で弄りながら、生徒会長の彼女はこちらに質問を投げかけてきた。「べつに、適当にサラリーマンになります 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まいねまいご お題:群馬の経歴 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:1088字
「田舎者」と呼ばれる人生が嫌であった。「群馬で広大な畑を有する主要農家の長男」に生まれてしまった自分の人生において、この二つ名である「田舎者」と出会ったのは高校 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:表田 圭 お題:あきれた英霊 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:693字
ふよふよと風船のように浮かぶ男が、墓の上でこちらを見下ろす。にやにやと随分楽しそうで、僕は眉を潜めずにはいられなかった。 墓の前に集まった親戚数人が、墓の掃除 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:神野 お題:右の狸 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:587字
今日もまた、右隣の高原くんの頭の上に耳が生えている。茶色で三角の耳だ。一応、人としての耳も残っている。クラス替えが行われてから5日目だが、この姿を見るのはもう1 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ぽつタイプライター お題:右の狸 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:714字
俺の同居人は嘘つきさ、なんて言っても誰も信じてくれやしない。なんたってすんごく愛想が良い。すぐに誰とでも友達になる。 今日も酒場で男が一人、意気投合して家にや 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:mitsuka*** お題:右の狸 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:497字
あのときは、30歳まであと10年あると思っていた。いま、10年後は40歳だ。10年前と何か変わったことがあるかと言えば、何もなくて、一生を一本の線だとしたらず 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@バブみ道団長 お題:イギリス式の内側 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:911字
誰も傷つけずに国を守れるなら、人情なんていらない。ただ武器を持って殲滅するのがいい。血にまみれた街中は間違いなく美しいものだろう。 かつての世界がそうだったよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
絵師の道具 ※未完
作者:ぽつタイプライター お題:絵描きの武器 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:259字
祖父の絵描き道具はほこりと共に屋根裏の隅に散乱していた。それらの品を見ていると、いまになってありありと思い出が浮かび上がってくる。パレットの緑の絵具は、すべて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ お題:わたしの嫌いなロボット 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:868字
これは、白の騎士"ユリウス"と黒の剣士"アルボス"による戦いの記録を残した叙事詩である…side:Arv思えばいつもそうだった誰かに助けを求めても、誰ひとりとし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:神野 お題:真紅の怒りをまといし哀れみ 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:409字
彼女は、私の前で初めて柔らかい笑みを見せてくれた。思わずどきりとした。心を開いてくれたのかと、喜びかけたところだった。「君は愚かだ」その台詞で彼女の逆鱗に触れて 〈続きを読む〉

風野 湊の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:ぐふふ、虫 制限時間:15分 読者:288 人 文字数:866字
教室の後ろ側はちょっとした密林になっていた。 もしかしたら、一般的な小学校の教室風景とは若干違うのかもしれない。なにせ僕は別の小学校に通った経験がないから自信 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
物思いの省略 ※未完
作者:風野 湊 お題:東京の任務 制限時間:15分 読者:313 人 文字数:1007字
電車を降りる時、いつも、何かの境界線を跨ぐような気持ちになる。 コンクリートのホームと車両の隙間から僅かに覗く薄暗い闇。眼下には、埃と雨に汚れたスポーツドリン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:フニャフニャの人間 制限時間:15分 読者:417 人 文字数:1073字
さて、これは私が爺さんから教えてもらったことなんだけどね。村境から森に入って半日も歩くと大クヌギがあるだろう。この中に、行ったことがある奴はいるかい?……なん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:オレだよオレ、太陽 制限時間:15分 読者:305 人 文字数:503字
故郷から糸電話を引っ張り続けて、もう何万キロメートルになるだろう。 僕の故郷である美しい蒼い星と、僕との間には、ぴんと張った一筋の糸が白々と伸びている。宇宙空 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:苦し紛れのブランド品 制限時間:15分 読者:288 人 文字数:558字
なんてこった。飛行機の予約を間違えた。 男は自分の商売道具だけ持って、空港で茫然と立ち尽くしていた。 南イタリアの田舎町から、もっと商売がしやすそうなアジアあ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:突然の雲 制限時間:15分 読者:266 人 文字数:1381字
吐息が雲に変わるという、そんな意味不明の薬を完成させたと聞いて、久しぶりに先生の研究室を訪ねてみたのです。 まだ馬鹿な研究をやっているんですって、と、笑いなが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:鋭い略奪 制限時間:15分 読者:288 人 文字数:763字
あまりに細く鋭利な刃で傷付けられると、身体は痛みに気付けないのだそうだ。傷口は視認できない。しかし、それでもしっかりと、組織は傷つけられている。やがて、血液が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:遅い靴 制限時間:15分 読者:293 人 文字数:978字
「これ、呪いの靴な。履いたら絶対に転ぶし、重いからスピードも出ない。靴紐もすぐに解ける。これを履いて出れば、絶対に、断言してやるけど、紀伊やんが一位を取ること 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:危ない恋人 制限時間:15分 読者:310 人 文字数:709字
アブナイ男しか好きになれない。 そう説明すると、知り合って間もない大体の人間は「ははん」という顔をする。そして言う、なるほどねぇ、振り回されるのが好きなんだね 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:風野 湊 お題:早い克服 制限時間:15分 読者:417 人 文字数:980字
この世界が不幸なのは、誰も彼もがスピードと効率を求めるからだ、間違いない。 通勤快速に詰め込まれたサラリーマンはある朝そう直感し、それが人生の心理であると結論 〈続きを読む〉