お題:シンプルなブランド品 制限時間:2時間 読者:758 人 文字数:2855字

某日某所の取材にて
私は、知っている。
あのお淑やかで物静かで控えめな美少女、霧咲純(きりさき じゅん)が、
とある大企業の社長令嬢であること。
しかし、彼女がブランド品らしいブランド品を身に付けているのを、見たことはない。
敢えてなのか、それともただ単に好んではいないのか。
気になる・・・・凄く気になる・・・・・!
ということで、私、柿内元(かきうち はじめ)は、突撃インタビューしちゃいます!



場所は某都会の某国立大学。
次の時限に講義が入っていないことを確認し、霧咲さんを捕まえた!


柿内「あのー、霧咲さん!」

霧咲「?」

柿内「あたし、広報サークルの柿内っていうんだけど。
   次の時間、空いてないかな?」

霧咲「次、は・・・うん、大丈夫。何か御用?」

柿内「いろいろお話聞きたくって!いいかな?」

霧咲「ふふっ、私で良ければ、喜んで。」


あ~もう笑顔が可愛いいいいいいいいい!!!
エンジェルスマイルとはまさに言ったものだろう!
デジカメを持ってくるべきだったと、今更後悔するわ・・・
と、内心は全て中に留めて、場所移動。
あんまり人気のないところの方がいいな~と思いつつ、しかし無人のところは避けた。


柿内「うっし、じゃあここらへんでいっか!」


対面して座れる椅子とテーブルがあった!空いてた!
どうぞどうぞと霧咲さんに座ってもらう。
あーもう、そのミニスカとニーハイが生み出す絶対領域が眩しいですわ。


霧咲「広報サークルということは、インタビューの記事を書くの?」

柿内「まぁ、そんなところ!ほら、霧咲さんにも謎があるからさ!」

霧咲「謎?」

柿内「霧咲さんが、霧咲グループの社長令嬢ってのは知られてるけど、
   見た感じ、霧咲さんって全然気取ってないし、
   服もシンプルな物を好んで着てる気がするから。
   うるさい庶民の目からすると、自分たちに合わせてる感じがするとか。」

霧咲「ん~・・・そういうつもりは、ないんだけどなぁ・・・」

柿内「あああああ、あくまで一部の意見だからね!?」


まずい、ちょっと悲しい顔をさせてしまった。
こんなところを誰かに見られていたら、私殺されるわ、間違いなく。
強行手段ではあるが、もう早速話を持ち出してしまおう。


柿内「き、霧咲さんって、ブランド品は持ってないの?アクセサリーとか、さ」

霧咲「持ってるよ。とはいっても、あんまり目立たないんだけど(笑)」

柿内「ふむぅ・・・たとえば?」

霧咲「んと、今着てる服・・・・・」

柿内「え、それブランド品なの!?」

霧咲「えへへ、あんまりそういう風に見えないでしょ?」


なんと、至ってシンプルで質素なお洋服に見えますが!
ブランド品であったと!?
照れつつもちょっぴり自慢げな霧咲さんの笑顔が可愛らしくて憎くて萌えrげふん。


霧咲「私、あんまり派手なものは苦手で・・・」

柿内「なるほど。すっごくいやらしいかもしれないけど、お値段は?
   あ、ブランド名は保留でいいんで」

霧咲「んと・・・シャツは4万円で・・・」

柿内「よっ!?」

霧咲「ストールは確か、5万円だったと思う。兄さんが買ってくれたの。」


いきなり飛び出たお値段に驚愕が隠せない。
叫ぶのを通り越して、逆に声が出なくなりましたわ。
なんで、なんでシャツよりストールの方が高いの!?なんで!?
というか、ブランド品に見えないのにそれだけの値段とか・・・・・


柿内「ち、ちなみに、スカートとか・・・・」

霧咲「ええっと、こっちはもう少し安かったかな。2万6千円くらい」


いやん、十分お高いです。
私が今着てる服なんて、某安売りに定評のあるチェーン店で揃えt(ry


霧咲「服は、そんな感じかな。」

柿内「へぇ~・・・・お、そういえばその靴、見慣れないものだけど・・・」

霧咲「あ、これはオーダーメイドなの。私、足小さくて。」


もはやオーダーメイドは、お嬢様の特権だと信じて止まない。
結構可愛いブーツなんだけど、果たしてお値段やいかに!?


霧咲「兄さんが、どうしても仕様を譲らなくて・・・20万円くらいだったかな。」


あ、あれ、あれれ!?
なんか、いきなり値段が跳ね上がった気がするんですけど!?
え、ちょ、さっき出た服の値段を合せても、靴の方が高いってどういうこと!?
私の靴の100倍って・・・!?
いけないいけない、メモに滑らせるシャーペンが止まらないわ。


柿内「いや~、霧咲さんに直接聞かなかったら、全然気づかなかったわ・・・
   まさか普段からそんなに高級品を身に着けていたなんて・・・・・」

霧咲「これでも抑えてる方なの。でも、兄さんやお父さんが、高い物ばかり・・・」

柿内「え、自分で買ってるわけじゃないの?」

霧咲「もちろん、選ぶときは選んでるんだけど、よく買ってこられちゃうの。
   あと、一緒にお買い物に行くと、本当に高い物ばかり選ばれて。」

柿内「ははぁ・・・・・あ、じゃあさ、今身につけてるもので、一番高い物は?」

霧咲「今は・・・これ、かな。」


そう言うと、霧咲さんはシャツの胸ポケットから懐中時計を取り出した。
光沢が眩しい、細かくて丁寧なデザインがとにかくすごい。
金色・・・いや、一番高いっていうぐらいなんだから、モノホンだろう。
18金ってやつ、だろうなぁ~(白目


柿内「これは、買ってもらったの?」

霧咲「うん。兄さんが、職人さんに直接頼んで作ってもらったんだって。
   使ってる宝石とか、大きさとか、あと彫刻も、全部兄さんが。」

柿内「お兄さんのこだわりっぷりが詰まった懐中時計かぁ。」

霧咲「大学の合格祝いにって。だから、大事にしてるんだ。」

柿内「クスッ、そっか。」


不意に見せられる霧咲さんのアブソリュートホーリーエンジェルスマイルに
卒倒しそうになりつつも、空気を読んであえて値段は尋ねなかった。
が、しかし。


霧咲「でも、兄さんってば、学費よりも高いもの、買わなくても・・・・」


・・・・ぱ、ぱーどぅん?
今、学費より高いって、仰られました?
ここの学費、60万くらいだった気がしないでもないんだけどナー。
・・・・・今回の広報のネタ、かなり濃くなるな。


霧咲「あ、私、そろそろ行かなきゃ。ゴメンね。」

柿内「うううううん、全然!こっちこそ、長く引き止めちゃって」

霧咲「それじゃあ、また何かあれば。」

柿内「う、うん!ごきげんよう~・・・」


ふんわりとした笑みを浮かべながら、霧咲さんは去って行った。
今この場には、私と、私がシャーペンを滑らせまくったメモ帳が残されている。
・・・・・そして、現実を知った私は、早速記事を書き始めるのであった。


【高級品の現実~シンプルなものでも油断してはならない~】





The End.
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:シンプルなブランド品 必須要素:京都 制限時間:30分 読者:85 人 文字数:1138字
京都に行った時に3万円で買ったこの石……ただの石に見えるって?いやいやいやこの石は真古という日本で一番古くから続いているブランドの由緒正しき石なんだよ。見てよ、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クリオネ@ゆ お題:イタリア式の監禁 制限時間:2時間 読者:14 人 文字数:2571字
今夜も俺は甘く柔らかな優しい声で囁く。大丈夫だ、俺は女性の扱い方に関しては慣れている。ネットで声をかけてDiscordで会話するうちに親しくなった女は、リアルで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:忘れたい命日 制限時間:2時間 読者:4 人 文字数:379字
今日は、妹の命日だ。 俺の妹は、あの日、俺の目の前で喉を斬られた。 俺は、何もできなかった。精神的ショックで一歩も動けなかった。 我ながらクズだとは思う。家族 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クリオネ@ゆ お題:記録にない病院 制限時間:2時間 読者:18 人 文字数:1866字
「ええと、保険証どこにしまったっけ」 健康診断を受けに久しぶりに病院に行く。うちの会社はそれぞれのタイミングで各自健康診断を受けに行き、後日提出を求められる。健 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クリオネ@ゆ お題:気持ちいい戦争 制限時間:2時間 読者:26 人 文字数:6438字
皆様こんにちは!私、小春まりえ、高校2年生です☆ぴーすぴーす!青山くんが大好きで、青山くんの為なら「世界中を敵に回してでも青山くんの味方になりたい」ガールです 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:絹糸 お題:自分の中の悪魔 制限時間:2時間 読者:28 人 文字数:1815字
私はHRが嫌いだ。吊し上げ、公開処刑。そんな言葉が合う。吊し上げを見るより、一刻も早く帰りたい人の方が絶対に多いはずだ。特に今日は早く帰りたい。今日の議題は私が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クリオネ@ゆ お題:今年の怒り 制限時間:2時間 読者:24 人 文字数:2710字
仕事するのは面倒くさい。クライアントは平気で無理難題を言ってくるし、あちこち駆け回って打ち合わせをして、一つ一つ交渉するのもめんどくさい。「それではこのように… 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:素人の冒険 制限時間:2時間 読者:7 人 文字数:1040字
私は出不精だ。休日はもっぱら家でできることを延々とやっている。書を捨てず街に出ない。関西在住だが、生まれてこの方関西から出たことがない。とにかく行動範囲が狭い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クリオネ@ゆ お題:少女のぬくもり 制限時間:2時間 読者:21 人 文字数:1475字
真夜中、大雪が吹き荒むなかで、俺は線路沿いを歩いていた。ひたすらまっすぐに、ただ黙々と進んで行く。頰に受ける風は冷たくて、体温はとっくに奪われていた。終電は1 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:クリオネ@ゆ お題:青い悪魔 制限時間:2時間 読者:38 人 文字数:3469字
青山くんは誰に対しても優しいです。私は今日も陰ながら青山くんを観察中です。切れ長の目にサラサラの茶色の髪の毛。英語のテストはいつも満点だし物言いが柔らかくて優し 〈続きを読む〉

ほにゃら隊長の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:疲れたカリスマ 制限時間:2時間 読者:965 人 文字数:2040字
「はぁ~。」時刻は、午後9時を回ったところ。住宅街にたたずむちょっと大きな一軒家に、その男は帰ってきた。リビングに現れるなり溜め息を漏らす、長身・黒髪ショートの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:騙された紳士 制限時間:2時間 読者:621 人 文字数:2823字
『濡れ鼠にご用心』大雨の降り注ぐ晩夏の夜、ずぶ濡れの少女はうずくまっていた。所持品は、纏っている衣類以外になく、ただ暗雲の広がる空を睨むように見上げていた。「風 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:暑い凶器 制限時間:2時間 読者:679 人 文字数:1456字
「あづ~・・・・・」季節は夏、誰もが猛暑と呼ぶ時期。日差しという名の凶器を常に突きつけられ続け早十数分。この凶器はヤバイ、痛い、暑い。と、うなだれていてもどうに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:シンプルなブランド品 制限時間:2時間 読者:758 人 文字数:2855字
私は、知っている。あのお淑やかで物静かで控えめな美少女、霧咲純(きりさき じゅん)が、とある大企業の社長令嬢であること。しかし、彼女がブランド品らしいブランド品 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:今年の発言 制限時間:2時間 読者:717 人 文字数:2432字
突然呼び出された10畳半のとある一室。俺を呼び出した奴は、高らかにこう告げた。浩介「新年!明けました!!!」当然のことながら、俺は次の言葉に詰まった。なぜならば 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:打算的な孤島 制限時間:2時間 読者:734 人 文字数:4295字
超高層ビルの最上階に位置する、とある女が居を構える、禁断の事務所。天空の孤島、探偵の隠れ家、隔離された牢獄・・・。いろんな人が、いろんな呼び方をするこの場所。今 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:彼の私 制限時間:2時間 読者:866 人 文字数:4469字
彼にとって、私は所詮、一介の一般人でしかないのだろう。そんな考えを持ってからというもの、私の中から、恋の芽が育つ肥沃な土が消えた。彼は近所に住むお兄さんで、いわ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:神の神様 制限時間:2時間 読者:816 人 文字数:3796字
「ねぇ、知ってる?天界を治める神にも、神様がいたんだって。」それは、あまりにも唐突な話題だった。さらに言うなら、意味不明だった。『・・・・は?』俺は思わず、言葉 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:ねじれた出会い 制限時間:2時間 読者:722 人 文字数:1926字
「く、来るな!俺に触るな!!!」それが、ソイツに初めて会った時の、第一声だった。真っ暗な部屋、鉄格子、冷たいコンクリート。金のために売り飛ばされた俺は、ここで飼 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほにゃら隊長 お題:黒い祖父 必須要素:文を動詞の現在形で終わらせない 制限時間:2時間 読者:684 人 文字数:2208字
俺の祖父さんは、いつも真っ黒な服を着ていた。最初は、全然気にならなかった。けど、和服も洋服も、なんでもかんでも真っ黒だったのが、最近になって不思議に思い始めた。 〈続きを読む〉