お題:シンプルなブランド品 制限時間:2時間 読者:727 人 文字数:2855字

某日某所の取材にて
私は、知っている。
あのお淑やかで物静かで控えめな美少女、霧咲純(きりさき じゅん)が、
とある大企業の社長令嬢であること。
しかし、彼女がブランド品らしいブランド品を身に付けているのを、見たことはない。
敢えてなのか、それともただ単に好んではいないのか。
気になる・・・・凄く気になる・・・・・!
ということで、私、柿内元(かきうち はじめ)は、突撃インタビューしちゃいます!



場所は某都会の某国立大学。
次の時限に講義が入っていないことを確認し、霧咲さんを捕まえた!


柿内「あのー、霧咲さん!」

霧咲「?」

柿内「あたし、広報サークルの柿内っていうんだけど。
   次の時間、空いてないかな?」

霧咲「次、は・・・うん、大丈夫。何か御用?」

柿内「いろいろお話聞きたくって!いいかな?」

霧咲「ふふっ、私で良ければ、喜んで。」


あ~もう笑顔が可愛いいいいいいいいい!!!
エンジェルスマイルとはまさに言ったものだろう!
デジカメを持ってくるべきだったと、今更後悔するわ・・・
と、内心は全て中に留めて、場所移動。
あんまり人気のないところの方がいいな~と思いつつ、しかし無人のところは避けた。


柿内「うっし、じゃあここらへんでいっか!」


対面して座れる椅子とテーブルがあった!空いてた!
どうぞどうぞと霧咲さんに座ってもらう。
あーもう、そのミニスカとニーハイが生み出す絶対領域が眩しいですわ。


霧咲「広報サークルということは、インタビューの記事を書くの?」

柿内「まぁ、そんなところ!ほら、霧咲さんにも謎があるからさ!」

霧咲「謎?」

柿内「霧咲さんが、霧咲グループの社長令嬢ってのは知られてるけど、
   見た感じ、霧咲さんって全然気取ってないし、
   服もシンプルな物を好んで着てる気がするから。
   うるさい庶民の目からすると、自分たちに合わせてる感じがするとか。」

霧咲「ん~・・・そういうつもりは、ないんだけどなぁ・・・」

柿内「あああああ、あくまで一部の意見だからね!?」


まずい、ちょっと悲しい顔をさせてしまった。
こんなところを誰かに見られていたら、私殺されるわ、間違いなく。
強行手段ではあるが、もう早速話を持ち出してしまおう。


柿内「き、霧咲さんって、ブランド品は持ってないの?アクセサリーとか、さ」

霧咲「持ってるよ。とはいっても、あんまり目立たないんだけど(笑)」

柿内「ふむぅ・・・たとえば?」

霧咲「んと、今着てる服・・・・・」

柿内「え、それブランド品なの!?」

霧咲「えへへ、あんまりそういう風に見えないでしょ?」


なんと、至ってシンプルで質素なお洋服に見えますが!
ブランド品であったと!?
照れつつもちょっぴり自慢げな霧咲さんの笑顔が可愛らしくて憎くて萌えrげふん。


霧咲「私、あんまり派手なものは苦手で・・・」

柿内「なるほど。すっごくいやらしいかもしれないけど、お値段は?
   あ、ブランド名は保留でいいんで」

霧咲「んと・・・シャツは4万円で・・・」

柿内「よっ!?」

霧咲「ストールは確か、5万円だったと思う。兄さんが買ってくれたの。」


いきなり飛び出たお値段に驚愕が隠せない。
叫ぶのを通り越して、逆に声が出なくなりましたわ。
なんで、なんでシャツよりストールの方が高いの!?なんで!?
というか、ブランド品に見えないのにそれだけの値段とか・・・・・


柿内「ち、ちなみに、スカートとか・・・・」

霧咲「ええっと、こっちはもう少し安かったかな。2万6千円くらい」


いやん、十分お高いです。
私が今着てる服なんて、某安売りに定評のあるチェーン店で揃えt(ry


霧咲「服は、そんな感じかな。」

柿内「へぇ~・・・・お、そういえばその靴、見慣れないものだけど・・・」

霧咲「あ、これはオーダーメイドなの。私、足小さくて。」


もはやオーダーメイドは、お嬢様の特権だと信じて止まない。
結構可愛いブーツなんだけど、果たしてお値段やいかに!?


霧咲「兄さんが、どうしても仕様を譲らなくて・・・20万円くらいだったかな。」


あ、あれ、あれれ!?
なんか、いきなり値段が跳ね上がった気がするんですけど!?
え、ちょ、さっき出た服の値段を合せても、靴の方が高いってどういうこと!?
私の靴の100倍って・・・!?
いけないいけない、メモに滑らせるシャーペンが止まらないわ。


柿内「いや~、霧咲さんに直接聞かなかったら、全然気づかなかったわ・・・
   まさか普段からそんなに高級品を身に着けていたなんて・・・・・」

霧咲「これでも抑えてる方なの。でも、兄さんやお父さんが、高い物ばかり・・・」

柿内「え、自分で買ってるわけじゃないの?」

霧咲「もちろん、選ぶときは選んでるんだけど、よく買ってこられちゃうの。
   あと、一緒にお買い物に行くと、本当に高い物ばかり選ばれて。」

柿内「ははぁ・・・・・あ、じゃあさ、今身につけてるもので、一番高い物は?」

霧咲「今は・・・これ、かな。」


そう言うと、霧咲さんはシャツの胸ポケットから懐中時計を取り出した。
光沢が眩しい、細かくて丁寧なデザインがとにかくすごい。
金色・・・いや、一番高いっていうぐらいなんだから、モノホンだろう。
18金ってやつ、だろうなぁ~(白目


柿内「これは、買ってもらったの?」

霧咲「うん。兄さんが、職人さんに直接頼んで作ってもらったんだって。
   使ってる宝石とか、大きさとか、あと彫刻も、全部兄さんが。」

柿内「お兄さんのこだわりっぷりが詰まった懐中時計かぁ。」

霧咲「大学の合格祝いにって。だから、大事にしてるんだ。」

柿内「クスッ、そっか。」


不意に見せられる霧咲さんのアブソリュートホーリーエンジェルスマイルに
卒倒しそうになりつつも、空気を読んであえて値段は尋ねなかった。
が、しかし。


霧咲「でも、兄さんってば、学費よりも高いもの、買わなくても・・・・」


・・・・ぱ、ぱーどぅん?
今、学費より高いって、仰られました?
ここの学費、60万くらいだった気がしないでもないんだけどナー。
・・・・・今回の広報のネタ、かなり濃くなるな。


霧咲「あ、私、そろそろ行かなきゃ。ゴメンね。」

柿内「うううううん、全然!こっちこそ、長く引き止めちゃって」

霧咲「それじゃあ、また何かあれば。」

柿内「う、うん!ごきげんよう~・・・」


ふんわりとした笑みを浮かべながら、霧咲さんは去って行った。
今この場には、私と、私がシャーペンを滑らせまくったメモ帳が残されている。
・・・・・そして、現実を知った私は、早速記事を書き始めるのであった。


【高級品の現実~シンプルなものでも油断してはならない~】





The End.
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